第44話 異質な空間

 朝になり私はデッカートの腕枕から起き上がって、額へキスをして起こす。


「おはようデッカート♪」

「最高の目覚めをありがとう♪」


 朝の挨拶の後にキスを交わし簡易ベッドから起きて、朝食に干し肉と干し芋を食べた後は、深淵の森へと向かう準備をして出発した。


「ここからが深淵の森になる。調査隊の報告通りなら魔物の出現は殆どないけど、油断しないで進むよ」

「はい、範囲は狭いですが感知を使います」


 2人で森を進むんだけど、この場で感じる魔素に違和感を感じた。魔素が集合体となって魔物になるんだけど、僅かだけと魔素から生気を感じるのに、ここの魔素からはそれを感じ取れない。私だけの感覚かも知れないので、デッカートに確認する。


「デッカート、魔素に違和感を感じない?」

「違和感?私には判らないよ」

「私が違和感を感じるのは、ペンドルトンの血が流れてるからも知れないね」

「進む方向はサツキに任せる方が良さそうだね。私は後方を警戒するよ」


 先頭を変わって、私は僅かな違和感を頼りに森を進んで行くと魔素溜まりを見つけ。普段は目視で確認する事が出来ない魔素なのに、水が湧き出るように溢れる魔素を確認できた。


「これが魔素溜まりなのか……」

「これほどの濃度なのに魔物化しないなんて……普通ではありえません……っ、デッカート!何かが現れます!警戒してください」


 私の言葉のすぐ後に、魔素溜まりから人型をした魔物が現れた。

 禍々しいオーラに体長は3mを超え頭髪はなく、白塗りで真っ白な顔に分厚い唇には赤い口紅が塗られた筋骨隆々の姿は、私の知る魔物とは別次元のモノに見えたの。


「調査隊じゃ無いのねん?何者かしらん?」

「アナタは何者なの?魔物ではないよね?」

「んま〜!可愛いわねん。どうせ食べちゃうけど教えてあげるわよん。私は魔王様の配下で魔人ケダンドゥよん♪教えたばかりだけど食べたさして貰うわねん〜」


 魔人ケダンドゥが私に襲い掛かるが、デッカートがそれを許さず剣を抜いて、伸ばした右腕を一刀両断して切り落とした後、首元に剣先を少し刺して動きを止めた。


「ぎゃあああん!魔人の腕を切り落とすなんてん、アナタは何者なのん!」

「デッカート、ありがとう♪では魔人ケダンドゥ、私の質問に沈黙と嘘偽りを言う事を〚拒絶〛する」


 デッカートが魔人の動きを止めたところで、私は〚拒絶〛を使って魔人の知る事を聞き出す事にした。


「この異質な魔素の原因と、お前達の目的を説明して」


 口を開かずに必死に抵抗するが、〚拒絶〛に抗う事は出来ずに話しだした。


「この魔素は生気を省いた物でん、大地を魔素で浄化する為の特別製なのよん。私達は魔王様の命令でん、地上を魔界化して魔王様が地上を支配する準備をしてるとこなのよん。お前達は家畜になるのよん……」

「この魔素を消す方法はあるの?」

「んまっ……神聖魔法の光よん……」

「ありがとう。さようなら」


 私が『さようなら』と言うと、デッカートは魔人の首を刎ねると粒子となり消滅した。


「デッカート、至急マルグリット領国へ戻りお祖母様に相談しないと!この国に、世界に危険が迫ってます」

「あぁ、ペンドルトン聖教国の力が必要になるだろうね。直ぐにマルグリット領国へ向かう」


 私達は急いで深淵の森から抜け出して、マルグリット領国へと馬を走らせたの。

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