閑話 王妃の嫉妬

 リュミエール宮殿 王妃の間にて、アリエッタ王妃は苛立っている。


 王太后が【才能覚醒の儀】で、王家よりも侯爵家の側で儀式に参加していたからだ。


 第1王子で息子クリストフは、将来の王に成る者なのに、王太后は侯爵家3女のサツキを膝に乗せているのだから…王妃はレンドルド王国より友好関係を深める為の、政略結婚で嫁いで来た王国第2王女で、人一倍プライドが高く、全て自分の思う通りになると勘違いする我儘振りである。

 当然ながら、王妃の資質に問題があったが、当時皇太子だった王が一目惚れして、両親の反対を押し切り婚姻に至ったのだった。


 宮殿へ戻ってから王を問い詰めても言葉を濁すだけ。母親に頭の上がらない王に対して更に苛立ちが増していくのだった。


 そして翌年の第2王子の【才能覚醒の儀】も同様に侯爵家側でサツキを膝に乗せているではないか! 

  幾ら王の姉の嫁ぎ先と言っても、王太后ならば王家の側に居るべきで、王子を溺愛するべきだと考える王妃は増々苛立つのである。


 王妃を更に苛立たせるのは、侯爵家の子達が全てギフトを授かった事だった。王妃の子は第1王子はギフトを授かったが、第1王女と第2王子はギフトではなくスキルだったから…

 宮廷内ではヴァネッサ王姉を誰もが讃える声が多く、女の格で王妃は王姉に負けてるとの噂もチラホラと聞こえる…

 プライドの高い王妃にとっては耐え難い状況で、何とか現状を打破して、自分を讃える様にしたいと考えている。


 侯爵家3女サツキが【才能覚醒の儀】を迎える年は、息子である第3王子も儀式を迎える。ここでも侯爵家かギフトで王家がスキルだと、国民達もヴァネッサ侯爵夫人を讃えるだろう…そんな事だけは許せない。

 王妃は嫉妬の余りあり得ない行動をとる事に…


 例え姪であるサツキの命を奪ってでも儀式に参加はさせない。贔屓にしてる商会を通して腕利きの暗殺者を雇わせ、サツキを亡き者にする。そうすれば王家を軽んじる王太后、格上を気取る王姉にも絶望を与えれるのだから…


 王妃の嫉妬は常軌を逸したのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る