ガーディアンアーマー

「何でそんな事をするんだ?」


 情報を引き出す為にひげ面の太った男に対して質問する。


 笑いながらひげ面の太った男はく答えた。


「決まってるよ!連中に働いて貰うためさ。

あまり多いと宝石や鉱石の価値がさがっちまうしよ。

しかし、酒は旨かったからその容器は貰っとくぜ。

2週間で作れたのならなおさら興味深いしな。

今回は大会開票時に作品展示者が不服で暴れまわったってことで紛失と破損で出場者と審査員は重症で大会は中止。なかったことにさせて貰っとくぜ」


「俺はあっちのドワーフを痛め付けてくるからよ」


 大柄のおっさんとその周りにいるごろつきはバッカスのいる場所にいくようだ。


「なかなかのゲス具合なのだ」


「こんな事して許されると思うんですか!!」


レオナとルシファーが静かに怒っている。


「許されるからしてるんだよ。この大会は俺の息がかかってるんだからな」


ひげ面の太った男は勝ち誇った様子でごろつきたちとじりじり近づいてくる。


「グルル~!!」


 ベリルはガーディアンアーマーのそばにいて周りを取り囲んでいるごろつきに威嚇している。


 あまり時間をかけると『バッカス』のいる場所へいくのが遅れてしまう。


「取り押さえて衛兵につき出すか!ははは」


『もう動いていいぞ。周りの敵意を出している奴等を倒せ』

ガーディアンアーマーに指示を出しみんなかける。


「皆ほどほどにな。ルシファーはバッカスの連中を守りにいってやってくれ」


「任せるのだ!『時空魔法』瞬間移動テレポート」


ルシファーは時空魔法を使いバッカスのいる場所へ移動していった。


 鎮座していたガーディアンアーマーが震えだし、周りのごろつきに攻撃を始めた。


「私も近接ができるウィッチなんです!スキル『獣化』」


レオナの姿が中型の虎へと変身していく。ああ⋯⋯服も模様として同化するのね。凄い。


爪を使いなかなかの速さでごろつきを猫パンチでぶっ飛ばしている。


「ぎゃあぁぁ~」「ほぐぇ」「うぎゃっ」ごろつきの叫び声が木霊されてるな。


 ベリルは大きくなってごろつきを尻尾でなぎはらって人の塔にしていってるな。


「ああっ!?私の人形が!ぐえっ!」ブチブチ~!!ガーディアンアーマーによって人形が真っ二つに引きちぎられた。戦意喪失した人形使いは人形と共に弾き飛ばされた。


「忌々しい虎だな!戦乱の戦士像よ!今こそ力を見せてやれ!」


 レオナに向かって戦乱の戦士像が斬りかかっていく!あっ⋯⋯防御が間に合わない!


『ガーディアンアーマー、レオナと同化しろ!』


 言葉と共にガーディアンアーマーがバラバラになり光の速さで虎レオナにくっついていく。


ガキン! 寸前の所で虎レオナの身体を守りきったガーディアンアーマーは大きく戦乱の戦士像を撥ね飛ばした。


『あれっ?身体が勝手に動きます~!?』


 ガーディアンアーマーを纏った虎レオナのアーマーラッシュが戦乱の戦士像へ轟く!ドゴ!ドゴ!!バコッ!爪はアーマーで隠れてしまったが戦乱の戦士像が粘土のようにへこんでいく。


「そんなバカな⋯⋯ぐふっ!」


 ひげ面の太った男がヘタりこんでいるところに、戦乱の戦士像だった小さな塊が無数の玉となって男の腹部へ落ちていって激突した。


「こっちは終わったのだ」


 ルシファーがのほほんと大柄のおっさんを引こづりながら歩いてきている。後ろからドワーフたちが走ってやって来てる。


「おい!大丈夫か?こっちは兄ちゃんの連れのお陰で怪我することなく無事に済んだよ」


「助かった~」


「一瞬でかたがついたぜ」



◇◆◇◆◇◆



「ドラムスとジュデイに助けられたがあの戦いを遠くで見た時に感動したよ」


 審査員たちはドラムスたちに助けてもらっていたみたいだった。


 審査員たちはしばらく縛られていたが緊縛から解かれると、叫び声が聞こえた所で、遠くから声のする方を確認をしたところにガーディアンアーマーが動きそして、虎レオナと合体したのを見て興奮冷めやらぬまま今に至るらしい。


「どんな形態にも変化する鎧だったのだな!」


シャキッとした老人は鼻息が荒い⋯⋯。


「しかもあれだけの攻撃を受けて傷がないぞ!」


 商人の男が鎧を見ながら唸っている。


「あれが『守護者の意思』か。敵意を向けたところから倒していっとたが確実にダメージを負わせとった⋯⋯」


 銀髪の腰の曲がった老人が深々と淡いため息を吐いた。


「攻撃は最大の防御というがまさか鎧が攻撃するなんて⋯⋯」


 角の生えたスーツの女性が鎧を擦って撫でている。


 ちなみにレオナは虎から獣人に戻っている。鎧もその隣に鎮座して、皆の言葉をまるで聞いているかの佇まいだ。


「審査を公平にする立場のゲオルグが場を荒らすとはな」


  冒険者風の男が鋭い目をしてひげ面の太った男ゲオルグと大柄のおっさんを睨み付けた。


「工房ギルド本部には役員補佐を派遣して監査するわ。あと工房ギルド支部には手を借りることになるから宜しく頼むわね」


 角の生えたスーツの女性がテキパキ指示をしている。


 金髪のおっさんが縛られたブードゥとドナルド・アントニオに向かって声かける。


「人形使いのブードゥとドナルド・アントニオは妨害工作の共謀の手伝いをしたことになったが唆してされたという話もあるため1年間大会出場権を剥奪とする。なお作品に罪はないので今後の創作活動は許可する」


 項垂れながらブードゥとドナルド・アントニオは話を聞いている。


「それでは仕切りなおして工房ギルド大会を締めようではないか」


 銀髪の老人が合図を出すと金髪のおっさんが拡張魔道具を使い言葉を発した。


「それでは工房ギルド大会の審査の再開をおこなう!」



 ⋯⋯工房ギルド本部チームは辞退し、作品のなくなったブードゥとドナルド・アントニオは棄権となった。



ガーディアンアーマーは特別優秀賞を獲得し、シードルは優秀作となった。


「それでは閉会します!」


 金髪のおっさんは高らかに声をあげ工房ギルド大会は終了となったのだった。

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