工房ギルドの試験結果
ブロードソードを持って受付のおばちゃんの所へいく。
「できたぞ」
「早いね!まだ3時間しか経ってないよ。大丈夫なのかい?できたのを見せてもらおうかい」
おばちゃんにブロードソード 『ソードリッパー』を渡す。
「⋯⋯」
ブロードソードを渡すとおばちゃんの目の色が変わった。
「これは⋯⋯!?ちょっと待ってておくれよ」
おばちゃんが急いで中に入っていく。
「あんた~!大変だよ~!これを見ておくれよ」
おばちゃんの叫びがこだまする。
掛け声と共に現れたのは隻眼のドワーフ。
左目の周りに大きな傷がある。
「どうした?ジュディ。何かあったのか?」
おばちゃんはジュディって名前のようだ。
「いいからちょっとこれ見ておくれよ!」
隻眼のドワーフがブロードソードを受けとると繁々と眺めだした。
「こいつは凄いな。誰がこんな物を作ったんだ?
何か鉄の他にも混ぜてあるな。
魔素からして魔物の一部か?」
「そこにいる3人組さ。工房ギルドの登録試験にブロードソードをお願いしたら、とんでもないのが出てきたよ。でも困ったね。これは納品できないね」
「ああっ。確かに⋯⋯こんなの出したら大変な事になっちまう」
「ええっ!?」
「納品できないだと⋯⋯
せっかく作ったのに駄目なのか⋯⋯」
ジュディが目を丸くしてこちらを見て言葉をかけてきた。
「駄目じゃないよ、逆さ。あんたたちの持って来たのが良すぎるんだよ、こんなの渡したら次からそれ以下が出せなくなっちまうし、貴族に目をつけられて、使い回されるのがおちだね。そうならないために手を打とうかね」
ジュディか隻眼のドワーフに目配せをする。隻眼のドワーフか頷いた。
「あんたたちは合格だよ。これは勉強用に受け取ってもいいかい?3本全部はもらいすぎになるから2本を鍛冶道具と遠距離武器との交換でどうだい?もちろんこれから工房ギルドメンバーとして頑張ってもらうよ!」
「如月さま!やりましたね!」
「マスターなら当然なのだ!」
「願ってもない内容だな。それで頼む」
ブロードソードを2つ渡しもう1つを魔法袋に収納する。
「おおい!ちょっと待て!なんだそれは?」
隻眼のドワーフが魔法袋を凝視して指差してきた。
「俺達で作った魔法袋だが?」
「は?魔法袋?坊主少し見せてくれ」
隻眼のドワーフがギラギラした目を輝かせながらジリジリ近寄ってくる。
「まあいいか。見てもいいぞ」
「へへへっありがとよ。んん?なんだこれは?」
顔を袋に覗きこみながら隻眼のドワーフがびっくりしている。
「『時空魔法』と『重力魔法』を組み合わせて作ったんだ。周りには魔法障壁をかけてあるから破れたりしないぞ。
魔物を保管してるからあまり手などは突っ込むなよ。
何かあっても責任は持てないからな。」
「しかもこんなに入ってるのに軽い!
魔物を保管だと?この魔物達どこで取ってきたんだ?」
「ダンジョンだ」
「がははっ!!もしかしてダンジョン封鎖の関連はお前らだな?こんなに数がいるし、素材も沢山ときた。魔物の素材を出し惜しみせず使えるんだ。
そりゃあ良いもんができるはずだ。
しかしダンジョンに入るには冒険者ギルドに入る必要があるな。冒険者ランクはいくつだ?」
「Fランクだ。」
「そんな馬鹿な?Fランクがこんなに魔物を倒せるはずがねぇ。
そういえばお前ら武器は?」
「俺は籠手で他の2人は魔法だな。
レオナは魔導師ギルドのCランクだったみたいだけどな。
ちなみに魔物は生きてるぞ。生け捕りだ。」
「いやいやおかしいだろ。明らかに場違いな魔物が入ってるじゃねぇか。
ダンジョン制覇でもしたのか?」
「いや20階でヒュドラが出てきて戦った衝撃でダンジョンが崩れた」
「ヒュドラだと!?
20階層で出るのはミノタウロスだけだったはず⋯⋯
Aランクでも倒すのはきついはずだが。生きてるってことは倒したんだな。
⋯⋯確か隕石群がダンジョンへ向かって入っていったと変な噂が経っていたな。」
「まあ色々あってな⋯⋯」
「かなり規格外な奴等だな。坊主たちは。この魔法袋とブロードソードが実力をものがたってるな」
ダンジョンで活躍したのはほぼルシファーだけだというのは黙っておこう。
「魔法袋はあまり人に見られないようにしろよ。狙われるぞ」
「ああ気をつけるよ」
「でだ。これから工房ギルドの説明をさせてもらう。
まず俺はここの代表をしているジークドラムスだ。
まず工房ギルドは工芸品から美術品、彫刻、武器、防具、装飾品、道具など様々なジャンルの制作を携わってるギルドだ。
工房ギルドでの制作は公開してもらうこともあるかもしれないが基本は自由だ。
依頼書は1ヶ月に1つは出来れば受けてほしい。
納品できない場合は違約金がある場合もあるから慎重にしてくれ。
ちなみに素材を提供してくれるなら買い取りをさせてもらうから
よろしく頼む。
出来れば納品ランクは書いてある2つ上までで頼むぞ。
後工房ギルドでの鉱石の採取はクローム鉱山を利用してくれ。
ちなみにランクが上がると地下深くまでの採掘権が出るから初めは地道にいくしかないんだがな。
ギルドランクに関してだが色別でランクが決まる。
初めは白ランクから始まり青→緑→黄→赤→金→黒が1番上になる。
そこで相談なんだが今度の工房ギルドの大会に出てみる気はないか?ランキングポイントも沢山稼げるぜ。
様々な工芸品から美術品やら良いものも出る大会だ。
優秀作には工房ギルド本部の製品が贈られるんだ。
もし出てくれるならランクを緑ランクから始めれるようにしとくぞ」
「わかった。検討させてもらおう」
「よし!それじゃあ工房ギルドの面子を紹介したいところだが奴等は変わり者が多くてな。ワシの弟子達のところには行ったみたいだな。
ついでにさっきのブロードソードを持っていくとしよう。」
「ならついでにこれも持って行ってくれ」
魔法袋の中から数本の酒をジークドラムスに渡す。
「うん?酒か?ワシも飲んでいいか?」
「ああかまわない。ただ分けてくれよ」
注意しとかないと全部飲んでしまいそうだからな。
「そういえば魔法袋は量産は可能なのか?」
「まだ1つだけだがのちのち増やす予定だ」
「ならそれを作った暁にはうちにも1つどうにか譲ってもらえんか?」
「あんたそんな物何と交換する気だい?」
「あんなもんひとつ持ってるだけで幾らでも融通が聞くわい」
そういうとジークドラムスは『バッカス』をノックし、叫んだ。
「おい。酒と良いもんを見せてやるから出てこい」
「なに!?」「酒だと?」「痛ってて押すな!」
ドワーフ3人組が急いで出てくる。
「こいつらがワシの弟子達だ。左からケイン、ロック、アルベルトだ。ランクは丁度、緑ランクだな」
もっさりしたドワーフがケインで頭がハゲたドワーフがロック、髭が白くて長いドワーフがアルベルトか。
「「「親父早く酒くれよ」」」
「まあ待て先にこっちのソードを見な」
ブロードソードを3人に渡す。
「これは⋯⋯」
さっきまで騒いでいた3人組はブロードソードに釘付けだ。
「これを作ったのはこっちの3人だ。ちなみに酒もくれたぞ」
「なかなかの逸品だな。お前らいい奴だな。この素材俺らにも提供してくれるのか?」
「もちろん。俺は1人しかいないから沢山色々と作れる人を求めてる。酒はお近づきの印だよ」
「もう素材提供の話まで出てるんだな。こいつはうまい具合だぜ」
「ジークドラムスさんだったか?ちなみに俺らは料理道具も求めているんだがどうにかならないか?」
「おう。じゃあ俺が直々に作ってやるから大会に出てくれ。あとさんづけはいらねぇよ。」
「ふぅ強引だな。仕方ないな。レオナ、ルシファー大丈夫か?」
「如月さまが良ければ大丈夫です」
「もちろん大丈夫なのだ!」
「よし!そうと決まれば推薦しとくぜ!ジュディ、エントリーを頼む」
「あいよ!」
「じゃあ貰った酒を飲みながら新しいギルド仲間に乾杯だー!」
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