工房ギルドでの登録の手続き
「許してください~」
ダンジョンコアは降参して声をあげた。
ダンジョンは一部崩落したため何層か下の階にいけなくなっている。
ルシファーが使った魔法障壁は下の階にいた人達にかけるために使ったとのこと。
しばらくはダンジョンコアがダンジョン修復作業に追われるみたいだ。
そういえばダンジョンコアは赤のレベッカというらしい。
「そういえばレベッカ、このダンジョンは宝箱がひとつもみつからなかったけどないのか?」
「ないわよ。宝箱なんて規定では置く必要がないもの。そもそも人間達を強くする必要がないのよ。
まあ言われなくても置かないけどね。欲しいとおもうなら街から離れたダンジョンの場所にしかないわよ。
私のところは少ない素材と鉱石、薬草、茸ぐらいがあるのだから感謝してほしいくらいよ。あんたたちには勝てそうもないし、魔物は諦めるから早く出ていってほしいわ」
レベッカは諦めた口調でそういうと隅の方でマップ確認を行っている。
「そういえば街の方で少し騒ぎになってるわよ。あの魔法。
外から転移魔法を使ってここに飛ばしたみたいだけど大きな塊が降ってきたのを確認されたみたいね」
「なんだと?街の方のそんなこともわかるのか?」
「私はダンジョンコアよ。ダンジョン周辺の管理もしてるの。 まあ今回は大赤字よ。貯めてたポイントがパアよ。配置に必要な分も補充したいし、ああっヒュドラがあんなになるなんて」
「外の事は安心するのだ。空中で座標を定めて移動させたので、今回は街は破壊してないのだ」
◇◆◇◆◇◆
今回手に入れた素材と魔物たちのおかげでなかなか潤っている。
戦闘はルシファーに任せっきりだったがレオナと俺にはランキングポイントが沢山入ってきた。
ランキングポイント交換の表示は新しく項目が追加されていた。
ジョブチェンジはLEVEL-2を獲得できた。
ジョブチェンジLEVEL-2は基礎技能獲得。それぞれのジョブの基礎技能をポイントで選んで取得できる。
「全然活躍もしなかったのにいいんでしょうか⋯⋯
しかし悪目立ちするのでランキングキラーに目をつけられそうです。今のうちに強化しないと⋯⋯でもこんなにポイントが⋯⋯えへへ⋯⋯どれを取ろうかな」
レオナがポイントを眺めながらウキウキしている。
ランキングランクはブロンズランクの中間まで来ている。
下の階層まで隕石群流星メテオストライクが魔物を潰していたらしい。
「しばらくはダンジョンを封鎖するわ。これだけの被害があったんだもの。奴等も動くだろうし高みの見物といこうかしら」
「奴等?」
「私がここのダンジョンを運営してる事を知ってる奴等よ。
たまに入ってきたりするけど大概目立つ奴等を取り締まるのよね。確か名前は⋯⋯フロストファングだったかしら」
フロストファングか⋯⋯
「まあいい機会だしそろそろ出ようか」
「ランキングランクが上がって入れるところや買い物も質があがるので少しはよくなると思います。しかし<情報屋>が私たちの事を少なくとも嗅ぎ回るでしょうから油断できません」
街の騒ぎもあるがどうにかなるかな?男たちが円陣取り囲み資料をみて、1人の男が読み上げていく。
「赤のダンジョンが封鎖された」
「その時に頭上から隕石がダンジョンへ落ちていくのが確認されたみたいね」
「問題を起こした奴等は三人組で1人以外詳細がわからなかった」
「1人は魔導師ギルドで弾かれたものらしい」
「最近は輪を乱すものもいなかったのにのう」
「規則は規則だ」
「目立った行動を起こしている奴等がいる直ちに調査して黒なら粛清してこい」
「はっ!」
そういうと男たちの前からいつの間に現れたのか人影が姿を表しひとつの影が消えた。
◇◆◇◆◇◆
「やっと道具と武器が手にはいるな」
まず行くところは工房ギルドだ。
商業ギルドに行って武器を調達するにはお金がかかりすぎるし、流通が制限されているため適していない。販売ならいいんだが。
工房ギルドで素材を提供し少しでも安く仕入れるのが目的だ。
まあナイフぐらいなら商業ギルドでもいいんだが。
ランクがあがっていることで少しは融通が通りやすくなっているはずだ。
生活をする上で必要な料理道具、鍋など用意出来ればぐっと変わるのだ!
大会には料理大会なども開催されているため、可能な限りいい材料などで用意したい。
あとは鍛冶職が使う道具があれば強化も出来るようになるし、作成の幅が広がるのだ。
『天地万有の声』はどの素材でより最適なものを用意できるかを教えくれていた。
工房ギルドはギルド区の奥の方にあり建物は古い宮殿みたいな形をしている。
中に入ると冒険者ギルドとは少し造りが違い中は1つ1つ区切られて1つの部屋になっているようだ。
ネームが掲げられていて中にいる人物の名前がかいてある。
ここが工房の中で作業しているスペースになっているんだろうな。
んっ?一際大きな部屋は名前が掲げられてないな。
個室を抜けると冒険者ギルドと同じようなカウンターの横にボードに掲げられてある紙がところ狭しと張ってある。
ふくよかなおばちゃんが受け付けに座っている。
「すまない。見学と素材の持ち込みで商品を作ってもらいたいんだが」
「工房ギルドは初めてかい? 素材持ち込みで作れるのは横の壁の紙に張ってあるものだけだよ。なんの見学をしたいんだい?」
「見学は鍛冶職の現場の作業かな。
とりあえず素材持ち込みで何ができるのか確認してから、また声をかけるよ」
「あいよ。いいのが見つかるといいね」
「いろんなものがあるのです」
「じゃあこの羊皮紙に書いたものを探してくれ」
「わかったのだ」
「わかったのです」
紙を2人に渡して、それぞれ探してもらう。
「あったのだ」
「ありました」
あったのはお玉、鍋、フライパン、おろし器、ナイフ、刀、剣、弓、メイス、投擲武器、槍、斧、ハンマー、おおっ魔法銃などもある。
しかし鍛冶職の物はハンマー以外はないな。
「思ってた以上に揃えれそうですね」
「まずは料理道具とナイフ、あとは近接武器と遠距離武器を1種類ずつは欲しいな。鍛冶職の物は自分たちで調達しようか」
武器は種類があるので少しずつ揃えることに。
「じゃあ工房見学の後、商人ギルドも寄るべきですね。私前々から欲しかった魔導書グリムブックと魔法書ソーサーラブックが⋯⋯ああっ今ならポイントで買えるかも」
「まずは工房ギルドでの見学と登録を済ませてからだよ?」
「んっ?登録もすんのかい?道具も何も持ってないようにみえるけど宿にでも置いてきたのかい?ランキングランクを見せてみな」
おばちゃんか話を聞いていたみたいで目線をこちらに移してきている。
「いや道具は持ってない。道具はこれから調達だ」
「ふーん。まあいいさ。技術職は誰だい?それとも土魔法で何か作るのかい?」
「技術職はいないぞ。常時土魔法を使えるのはルシファーだけだが、俺はスキルで両方使えるんだ。登録は俺だけだ。助手にルシファーとレオナを使う。まあ他にもあるんだが、今はいいだろう」
受け付けにある水晶の部分に手を置くと表示がおばちゃん手元にに映る。
「んん?職業 フリー?なんでこんな職業が?
そんなスキルがあるなんて聞いたことないよ!
職業のないものがやっても、物もそこそこの物しかできないだろうがね。
⋯⋯まあ作るのは自由さ。
工房ギルドでは入会条件は工房ギルドの指定した品質の
商品の納品が最低条件だよ。登録料がわりさ。
更新については毎月1つの受注をしてもらうのもルールだよ。
工房は空いてる場所をそうだね⋯⋯3日使いな。
できなかった場合は100ドルズ置いていって貰うよ。
見学は好きなだけ見ていくといいよ。どうせ誰も気にしないよ。
そうだね。商品はこれでいいかね。ちなみに材料と道具は工房に置いてあるやつを使うといいよ。
もし品質がそれ以上なら鍛冶道具1つ只であげるよ」
そういうとおばちゃんが1枚の紙を用意してきた。
紙を受けとると内容を確認する。
――――商品受注書―――
ブロードソード3本。
品質はノーマル
期限は3日目の夕刻まで
品質向上で追加報酬あり。
―――――――――――――――――
ふむ…ブロードソード3本か
1日1つの計算なんだな。
「品質が良いのを作るなら俺達の持ち込みの素材も使うか」
「変な物はみてわかるからね。新人の力を見せてもらおうかね」
「それじゃあ工房での作業を先に見学をさせてもらおう」
「今やってる部屋はノームの率いる『精霊の導き』かドワーフの率いる『バッカス』だね。どっちも良い技術屋だよ」
ノームやドワーフの種族は『ブレイブアスガルド』では高い生産性のある上位種族達だ。
ノームは細工技術が優れておりとてもいい物を作る。
ちなみにベルサイズの腕輪と指輪は『精霊の導き』が担当して作っているとのこと。
ドワーフは鍛冶スキルが得意な集団でいろいろな武器や防具を生産している。見る上で参考になりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます