学校一の人気者に告白してOKもらったのに…なんで地味な女子と付き合うことになってるんだ!?
ALC
第一章 重めの恋人と面倒な元カノと友達
第1話すっぴんは地味だけど…かわいい
今が人生の幸福の絶頂だと断言できる。
学校一の人気者である
これ以上に幸福なことが僕の人生で訪れるとは想像し難い。
二人並んで校舎を抜けると付き合って初日ではあるのだが手を繋いで帰路に就く。
今どきの中学生でも付き合った初日にこれぐらいはしているだろう。
僕らは高校二年生。
もうすぐ成人を迎え大人に近付く年頃だ。
それでもやはり胸は踊るもので…。
「中条くんはこういうの結構慣れてるんだね…なんか意外かも」
「それは良い意味で?これでも僕は結構勇気出したんだよ…」
「ん。良い意味で。頑張ってくれてありがとうね♡」
それに照れくさそうに笑みを浮かべると駅までの短い時間を共に過ごす。
「じゃあ私こっちだから。また明日ね」
田丸は僕に手をふると改札を抜けようとして一度立ち止まった。
そしてゆっくりとこちらに振り返ると一言。
「明日からの私にもちゃんと優しくしてね?」
「当然だよ」
意味深な言葉だったが僕が彼女をないがしろにするわけがない。
彼女もそれに頷くと丁度来た電車に乗るために改札を通り抜けるのであった。
翌日には学校の最寄駅で待ち合わせをして登校する予定だった。
田丸よりも早く着いていたのか待ち合わせ場所に彼女の姿はなかった。
スマホを確認したが遅れるなんて通知は届いていない。
と、そこで制服のブレザーの袖をクイッと引っ張る何者かが居て…。
「中条くん…おはよ」
同じ高校の制服を着た見ず知らずの女子生徒に声を掛けられて軽く会釈をする。
再度、田丸を探して辺りを確認しているとその女子生徒は口を開く。
「私だよ。田丸圭子」
よく見るとたしかに彼女と同じ髪型髪色をしているし背格好も同じぐらいだ。
「すっぴんなの。中条くんと付き合えたから。もう学校に行くのに張り切ってメイクする必要ないかなって思って…やっぱり変かな…」
彼女は少し俯いて問いかけてくるので懸命に首を左右に振った。
「全然変じゃない。ただ今まで見たことなかったから。気付け無くてごめん」
「謝らないで。行こうか」
駅から学校までの登校中に彼女は衝撃的な事実を口にする。
「中条くんと付き合うために慣れないメイクも頑張ったんだ。クラスの女子に中条くんの好きな芸能人とかネットタレントの傾向聞いて。デートの時はちゃんとするから…。それでも良いかな…?」
「うん。いいよって僕が許可するのも変だけど。いつでも好きな格好をしててよ」
「ありがと。中条くんを狙って正解だったな♡」
僕の中で気を張るような緊張は少しずつ緩和されていく。
「あっ。それと…」
彼女はそこで言葉を区切ると僕の目を真っ直ぐに見つめて口を開く。
「私以外の女子とは仲良くしないでね?彼女との約束だからね?」
圧強めなその一言に反射的に頷くと少しだけ今後の生活に不穏な陰が落ちるのであった。
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