第2話(全7話)

 トーストを口に押し込むゆらは両頬を膨らませて、ハムスターのような顔つきになっていた。

 父親が戻ってきた気配を背中に感じながら、ゆらは彼に今更の挨拶をする。


「んっん、んんん~。ん?」

「飲み込んでから話しなさい」

「おはようって言ってんの」

「おはよう。シーツは畳んでおいたよ。たまには自分でやりなさい」

「うん。ありがと」


 父親の小言を右から左へ受け流したゆらは、追加で頬張ったパンを飲み込むよりも先に鞄を取って、玄関へと向かった。


 いざ、学校へ!


「行ってきます!」


 父親がまだなにかを言っているが、もう時間がない。

 今、遅刻をするよりも、後で叱られよう。


 弓良ゆらは、外の世界へと飛び出した。


 天気は快晴。今日は、暑い日になりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る