第11話クマゼミの合唱
「夏休みだからと家でゴロゴロしていては勿体無いわ若いのに、一層の事毎朝登山してみては? じゃあ明日の朝、菊水山のトップでねタカオ?」そうして今僕は、ここに居る。彼女の教科は英語だった。
午前五時の烏原は、まだ薄暗く、幅員の狭い県道を歩いていると時折ガサゴソと左側の山肌から雑音がしているのが分かったが、多分野生の栗鼠だろうとその音のする細い山道に入って山頂へ登って行った。
薄暗い山道はとても人が立って歩ける状態ではなく石ころと言えない岩石が上から転がって止まった様子で、腰を屈めて両手をその岩石に手を突きながら山頂まで登った。
まだ日が射して無い菊水山の頂上は平坦な狭い赤土グランドの様で土が固まって所々雑草郡が際立ち、緑が映えていた。
「遅いねタカオ寝坊した?」腰に手を当てた黒い影がこちらを観て話しかけて居た。
「4時に起きたよマリコ?」慌てて反論したが朝の光に目覚めたクマゼミの合唱に掻き消されてしまい寝坊と思い込んだマリコが朝日に背を向けて立っていた。
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