第10話 「象徴」

***


いつの間にか、男は夢から目覚めており、いつもの布団の上に横たわっていた。

男の体は冷や汗に濡れ、心臓は高鳴りを続けていた。夢から目覚めた後、男は深い考えにふけった。


――――夢の中で感じる感覚や出来事が、やはり何か重要なメッセージを伝えようとしているのではないのか…?


夢の中での出来事が現実とは異なる次元で起こるものでありながら、男にとってはそれが現実世界にも大きな影響を与えているような感覚があった。



――――夢の中の出来事が現実の謎と密接に結びついているのではないか。それとも、ただのと錯覚なのか…?



それから男は恐怖しながらも、深夜の床に横たわり、夢の中での出来事が現実かのように迫ってくることを心待ちにした。

しかし、少女のを夢見ることはできず朝が訪れ、男は何も夢を見ずに目を覚ました。



男の体は汗で湿っており、頭の中には未だ先刻の夢の光景が鮮明に残っていた。


男は床に腰かけ、深いため息をつきながら、夢の中の少女の姿と笑い声が頭から離れないことに困惑した。なぜ男は夢の中で少女の感覚を再び味わうのか、何か意味があるのだろうかと疑問を抱いた。そして、自分が望んでも少女とは夢には出てこない。


しばらく考え込んだ後、男は自分自身に対して心の声で問いかけた。「この夢の中で感じる感覚、それが何を意味している?」


男は、火の坂を調べているうちに、深く自分の心が妄想して、面白おかしく夢に火の坂と少女が出てきたと思っていた。2度目の夢を見るまでは。


―――ただの脳の、バグだ。金縛りは睡眠障害だと科学的証明されている。この夢も同じような現象だ。



「ぅ…っあ」

男は自分の心の声に耳を傾けながら、夢の出来事や感情が脳裏に浮かんでくるのを感じた。

―――涙が止まらない。悔しく、羞恥的で、悲しい。そして怒りが込み上げて、ぐちゃぐちゃになる…。

少女に乗り移る感覚は、自分自身の過去と向き合うための象徴か?

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