昨日のこと
「
開く戸を、引きつった
善道が出て来ると、友則は
「閉じろ」
戸が、善道の背中で閉じた。
「
「
「紀氏も
向き直り、童を見ていた
「いとこ君を知っていらっしゃるのですか」
「
定省に聞き返されて、貫之は答えるしかない。
「そうです…」
「
「そうです…」
「
「そうですか…」
昨日、
よくあることで、貫之は気にもしていなかった。
定省は、閉じた戸の方を見やる。
「あのように、
貫之を見る。
「君のように、そびやかに、やせやせの
うつむき、胸に手を重ねる。
「初恋は、心の内に思い続けていた方がいいのだろうか…」
閉じた戸の向こうでは、友則と善道が、
善道は泣きそうな
「そんな…章成は、舞を教えるのに疲れて、熱を出したんだって、思ってた…どうしよう…貫之、
「
「もし、貫之に出たら、もちろん、そうするけど…赤斑瘡が出ると、
昨日、
長谷雄は、家に連れて帰った章成に、
「――兄の顔が
そこに
「病を
「『病を看る』なんて言って、
「
「『病を看る』のが、真だと分かったからな。吾は、道真に伝えに帰る」
友則を引き止めて、長谷雄は共に、章成の家へ行った。
「どおおおおおおして
「見ず知らずの者が、『病を看に来ました』って言ったって、家に入れてくれないだろ。友則なら、
「
「見ず知らずの者が、『病を看に来ました』って言ったって、家に入れてくれないのは、当たり前だ。なのに、
「誰とだって、初めは『見ず知らず』だろうが。」
「だから、まずは
「そんなことをしていたら、お前が家に入れた時には、病で人が死んでいるぞ」
「だから、友則が
つぶつぶと肥えた長谷雄と、
「家の内に、入り込まなくてもいいようだな。
「
「それくらい、自身で聞けぇぇぇ」
「どこ、行くのぉ」
「あんな所にいたら、あんたも、あたしも、体中、真っ赤な
子と母の声を聞いて、長谷雄と友則は顔を見合わせた。
「
「昨日は、章成の兄が
「だとしても、」
「
「『出ない「かもしれない」』じゃないか~~~~」
善道は、掴んだ友則の浅緑の袖を振る。友則は、
「
ただ親の
出仕しても、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます