第29話 新たな旅立ちの前に
ーー それぞれの今
ー 女神の五指
私達が出逢ったのは、20年以上前のメンデルの街の孤児院だった。
30人くらいの孤児が新しく孤児院に援助をしてくださる人が出来たと、嬉しそうにしすたが言っていたのを興味深く聞いていた。
その頃の孤児院は、食べるものは元より着るものや住む家すらいつ無くなってもおかしくない状態で、近くの子供は
「お化け屋敷のゾンビだ!」
と言いながら私たちを馬鹿にしていた。
そしてセシル様と出逢ったのです。
セシル様は私達より2つか3つ上で、それがシスター以上に大人な女性だった。
毎日のように魔物の肉や食料を持ち込み、美しい布で私達の服を作りそしてそのノウハウを教えてくれた。
教会もいつの間にか新しい建物に変わり私達の住んでいた家も、立派な建物に変わっていた。
でも一番驚いたのはセシル様が魔法を使えることと、私たちに特別な力を与えることが出来る女神様の使徒様であると言うことだった。
私達にはそれぞれの夢があったそしてそれを叶えるために冒険者になることが最初の夢だった。
メンバーは
・スメル
・レイ
・ジャイン
・カレン
・サーシャ
5人で、それぞれ特別の力をいただき冒険者としてメキメキと実力とランクを上げてった。
成人してからも私達はセシル様の依頼を受けながら街で冒険者として活躍しながら、後輩になる孤児院出身の冒険者の育成に力を注いでいた。
そんな中スメルがパーティーの名前を決めたのだ。
「女神の五指」と言う立派な名だ。
セシル様が領主になったり他国に出向いたりする際には私達はいつも一緒に冒険をしていた。
おかげでさらに実力についた私達に貴族からの
・お抱え冒険者の地位
・貴族の家臣へ
・貴族にならないかとの誘い
・結婚話
など沢山の話が来ていたが
「私達はセシル様の為にしか動きません。」
と断っていた。
そんなある日セシル様から
「ねえ貴方達は冒険者以外の夢は何なの?結婚はしないの?」
と聞かれた。
私達は悩んだ、夢はあった、結婚してもいいかなと言う相手もいなくはない。
私は
「夢はあります、結婚はセシル様がした後考えます。」
と答えていた、するとセシル様は
「夢あるのねそれなら良いわ。結婚は遅くても良いけど貴方達も私に似て長命だからね。」
と言ってその話は終わった。
「さっきのセシル様の話はどう言う意味だろう。」
スメルが私に聞いてきた
「うんー、よく分からないけど。好きに生きろと言うことじゃないかな、そう言えば私達みんな歳をとった感じがしないね。」
と答えると
「俺も思っていたんだ、お前やサーシャがいつも若くて綺麗だからどうしてなんだろうって?」
その言葉を聞いて思わず顔を赤くしてしまった私
「スメルサーシャが好きなの?」
と誤魔化し気味に聞けば
「俺は・・・カレンの・・・方が・良い」
と消え入りそうな声で答えてくれた。
「え!・・私もスメルのことは嫌いじゃないわよ。」
「!嫌いじゃないて言うのはなんだよ。好きなのかよ?」
「・・そうよ、悪かったわね。」
と怒鳴るように言って私はその場を駆け出していた。
その様子をセシル様の使い魔が見ていたの、後で私を呼びつけると
「2人なら私も応援するからね。それと下の子達も強くなってきたから貴方達も好きな事をしてね。」
と言ってくれた。
私はサーシャ、物心ついた頃には孤児院で泣いていた。
そんな私をカレンがいつも守って慰めてくれていた、でもそんな関係がいい方向に変わったのはセシル様が現れてから。
私達に魔法を教えてくれて、私にはみんなを守り癒す力を。
最近になってセシル様が言うの
「ねえ貴方達は冒険者以外の夢は何なの?結婚はしないの?」
と、私は女神に使えるシスターになることが夢、そして女神様にこの身を捧げている私には結婚はあり得ない。
でも子供は大好き、だから何処か田舎の貧しい街か村で教会のシスターをしながら孤児院を経営したいと考えている。
この間王都の教会から、「女神の守り人」と言う名のシスターの許可をいただいた。
するとそれを聞いたセシル様が
「貴方にちょうどいい街をあげるわ、平和で明るい街にしてね。」
と言いながらアラガミ侯爵領の中の一つの街の代官に私を指名したの、そこに商人希望のジャインと騎士希望のレイを入れて。
私達「女神の五指」の解散が現実のものになってきた。
スメルと私は結婚して晴れてセシル様の家臣になった。
サーシャが後に「こどもの国」と呼ばれる街のシスター兼代官で更には孤児院長をし、ジャインがその街の商会長でレイが治安部隊の隊長に任命されたのだ。
それは私達が30歳と29歳になった頃の話だ。
あれから10年今ではサーシャが子爵様でレイがその旦那様兼騎士団長で、ジャインは王都にも大きな店を出す大商会の会長様だ。
スメルと私は、騎士団長と側近として今もセシル様のそばで働いている。
ーー デカント兄妹
私達がセシル様の元を訪れたのは、私達の国が滅び貴族の子息だった私達も生きる為に捨て犬のように流されて・・たどり着いたのは、孤児院だった。
その孤児院は物凄く待遇が良くて勉強や訓練をとても熱心に教えてくれる所で、もう一度貴族になり上がろうと決意していた私たち兄妹には夢のような場所だった。
ある日、セシル様から
「今度貴方達兄妹に仕事を与えるわね、頑張ってね。」
といわれたのです、するとセシル様の領地の代官をしろと。
その頃の私達は兄が14歳私が13歳のまだ成人前の子供だったんですが、いつの間にか代官になり、その仕事を兄妹で一生懸命にこなしていたら
「領地が大きくなったわ、領民も増えたわ、頑張ってね。あ!そうそう言い忘れていたわ、貴方達今日から男爵ね。」
といわれた時はとても驚いたのです。
その後も
「今日から子爵ね。」
といつの間にが叙爵していて、気づいたら私達は自分の親よりも高位の貴族になっていたのです。
すると兄のトールが
「メーテル、お前も婿をもらっても良いのだぞ。」
と言うのです、でも私達は侯爵領の隣の伯爵領を二つに分けた子爵領の領主同士。
いずれかがここを出れば残りが伯爵になることが決まっていた。
「私がいなくちゃトール兄様は、仕事が回らないでしょ?」
と答えると
「そこが問題なんだ、孤児院に良い子いないかな?」
と呟く兄に
「今では貴族の女性を貰うべきでしょ。スイフト様に相談してみるわ。」
と答えて後、セシル様にその事を伝えて王妃になられたスイフト様に会いに王都に向かったの。
暫く会わない間にスイフト様は王妃様がよく似合う女性になっていたの、私の相談にも
「良いわよ、セシル様の領地の貴族の事だもの私が吟味して紹介するわ、その時は貴方の旦那様もだからね。」
といわれて、思わず赤くなった私。
「ありがとうございます。」
とだけやっと答えた、その後は王城でのパーティーやお茶会に参加して目ぼしい人物に紹介されたの、良い人が見つかったわよお兄様。
ー セシル家の人々
セシル様の最初の屋敷に雇われた使用人達は、8人皆歳をとっても健康で執事のセバスチャンや庭師のダンディーなどは、60を超えているのにまだまだ若々しい。
料理長のタンや見習いだったデリィーは、王都や侯爵領にに大きな店を持つ料理会場重鎮になっており、メイド長のセリーヌと御者のセン、執事のセバスチャンとメイド見習いだったメグの4人は今でもセシル様の屋敷で働いている。
皆健康で肌や髪がフサフサツヤツヤで多くに子供や孫に恵まれているそうだ。
ー タロウやクロの今
彼らについては特に変わったことはない、悠久の時間を生きてきた2人にとって20〜30年の時間などあくびをしているほどの時間にしか感じないのだそうだ。
その為セシル様のようがない時は、2人とも好き勝手に森や王都に行き魔物を狩ったり美味しいご飯を食べたりしているそうだ。
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