第26話 今度は世直しだ

ーー 国崩しと建国


私は亡国の王女オレンジ嬢と作戦会議という名の情報交換を行った。


「では、残存勢力としては公爵家を頭に伯爵家3男爵家3の7家が1番の敵勢力。次に伯爵家2つを頭に子爵家1男爵家1の4家が日和見。第三勢力として親王家だった侯爵家と生き残りの騎士団らの味方、それと盗賊団3つに荒くれの犯罪者たち約200人が悪の勢力です。」

と説明するオレンジ元王女さま。


元々王国には20の貴族がおり、今では内戦後12の貴族に変わったと。

そして領主がいなくなった領地に盗賊団が入り込み、約1000人の犯罪集団が領主の様に領民たちを搾取しているそうだ。


王都も治安が悪化し、200人位の犯罪者が好き放題暴れているそうだ。


「それでは私からこれからの作戦を伝えます。ディラン公爵家をはじめとした敵勢力の戦力の削減、盗賊団やゴロツキの始末、第二勢力との協力を当面の作戦とします。王女さまには一旦クローバー侯爵家に身を寄せてもらいますね。」

と大まかな作戦を伝えた後、個別に指示を行った。


すると女騎士のエミリアが

「王女様お願いがあります。私の力不足で今回王女様を危険に晒すこととなりました、そこで暫くこちらで修行し直そうかと思います、お許しください。」

「・・・エミリアの気持ちは分かりました、しばらく好きにしなさい。」

と許しを与えると最後の仕事と侯爵家への護衛を引き受けクロ達と出発したのだった。



ー 敵戦力と盗賊たちを戦わせる



王国内の地図を見ると面白いことがわかった、潰れて没落した貴族領に入り込んだ盗賊団は等しく敵勢力貴族の隣に入り込んでいた。

私は盗賊たちを扇動し敵勢力の貴族領に向かう様に仕向けた。

コレには盗賊団にスパイとして入り込んでいる没落貴族の元騎士たちが大いに力になってくれていた。

当然成功報酬として騎士爵の復活や新たな領主候補という餌だ。


ゲリラ戦の様な攻撃や商隊を襲い食料などの搬入を阻止している為、次第に戦力が低下していった。


痺れを切らした貴族たちは合同で盗賊団の討伐に臨んだ、しかしそれは自領の戦力を下げる事だ。

貴族たちが盗賊団を取り囲み一気に勝負をかけようとしていたその時に、タロウとクロに挟み撃ち的な格好でブレスを履いてもらった。

貴族軍及び盗賊軍ともに大きな被害を受け現場は大混乱になる。


その隙に私達は貴族らの屋敷を襲い、食料や財宝を奪うと屋敷に火をつけた。

コレを4貴族に行うと敵貴族の戦力は大いに減少したのだった。



ー 懐柔策と思いきや


敵対も味方もしておらず生き残っている4家の貴族らにオレンジ元王女が接触をかける。

当然そこにはクローバー侯爵家と共にシスターメイと私がついて行く。


「!オレンジ王女、いや元王女と呼ぶできですかな。」

ハート伯爵とダイア伯爵が揃って出迎えて会議室に案内した。

ここでオレンジ元女王は知らざることを聞かされる。

「クローバー侯爵もご一緒の様で丁度いいのかな。」

と言いながらハート伯爵が私たちの紹介を待っている。


「あ!紹介が遅れて無いません。こちらのシスターは女神教のシスターメイさま、そしてこちらの女性が女神様の使徒様セシル様です。」

と紹介された両伯爵は、目を見開き

「使徒様!真ですか?その証拠はお有りですか?」

当然の疑問であろう、そこで私は

「証拠と言われても女神に証拠を尋ねる様なもの。しかしここ3日ほどで盗賊団を3つと敵貴族勢力の4家を無力化しています。」

と答えると頷きあう両伯爵。

「そうですかあなたたちのお力ですね、こちらもその戦いは耳にしておりました。」

と協力していた盗賊に潜り込んでいた元騎士の1人がこちらに情報を持ってきていた様だ。


「確認ですがブレスを放つほどの従魔を従えていると言うのは本当ですか?」

「ああ、タロウとクロのことね。ええいますわ、でもあなたたちの戦いに積極的に参加するつもちはありませんわ、どちらも女神の民ですから。ただ盗賊などの女神の民に害をなす者たちは私達が狩っていきます。」

と答えると両伯爵はゾクっと寒気を感じた。


その後ハート伯爵が実は、と言いながら本当はいざという時は王家を守って助ける様にと仰せつかっていたこととその準備をしていたことを伝え、

「遅くなりましたがコレより我らはオレンジ王女の騎士にございます。」

と答えたのであった。



ー 敵戦力の抵抗と王都の治安


最大勢力であった公爵率いる貴族の結束が崩れ始めた、襲われた4貴族が助けを求めたが公爵らは兵を出したり手を差し伸べる様な事はしなかった。

そのため求心力が急激に下がり、離反者が出始め今では明らかな協力者は公爵以外は2家となった。

それでも最後の抵抗とばかりに王都の荒くれたちに金をばら撒き政情をさらに不安にさせる様画策した。

しかしその様子は私の使い魔達に全て明らかになっていた。


「今度は王都の掃除よ!塵一つ残さないでね。」

とみんなを激励し、清掃活動に向かった。

先ずは活動中止中の冒険者ギルドに向かい残っている職員を集めて

「今から王都内のゴミ(荒くれども)をかたずけるから、手伝えるものは手伝ってね。嫌なら邪魔だけはしないで、一緒に片付けてしまうからね。」

と注意と募集をかけた、すると残った職員はもとより20人ほどの冒険者が参加を表明した。

「意外と多いね、いいわ報酬は私が払うから怪我しない様にね。」

と励ました。



女性である私が街中を歩けば餌に飛びつく飢えた蝿のように群がる犯罪者達、それを路地に誘って次から次に狩って行く。

中には大通りでも大ぴらに攫おうとするバカもいたがそれらはその場でミンチにした。

「更生の可能性がない者は畑の肥やしになってもらいますね。」

と私は言いながらミンチを回収後から畑に混ぜ込んでいた。


こんな事を5日もするとすっかり犯罪者達の姿が消えて王都は落ち着いたが、残って隠れている犯罪者を見逃す手はない。

蛇の道は蛇ではないがそれらしい者に金を与え情報を得て拠点を強襲する。

10日ですっかり平和になった王都にオレンジ王女が王城に入城する。

王都民は

「やっぱり王族がいなければ王都はダメね。」

と話だす。


さらに王女殿下の言葉として

「盗賊団を殲滅しました、生活に苦しむ民は近くに教会にて配給をしているので利用してください。」

と公示する。


教会ではシスターメイの指揮の元、大量に持ち込んだ魔物の肉や治療魔法で傷つき飢えた王都民を癒して行く。



ー 最後の戦い



ディラン公爵らは自分達も劣勢が存続そのものを脅かし始めたと気づき、最後の戦いを起こした。

最大戦力で王都に攻め込み始めたのだが、それは私の思うまま。

王都直前の小高い峠道で待ち伏せすると、12000もの敵兵士を私の魔法で自由を奪い道に転がした。

これは新たなスキル

「状態異常」

と言うスキルで、麻痺や毒に睡眠などの体の自由を奪う全ての症状を起こす魔法であった。

「セシル様の前に敵はいませんね。」

とその様子を見たカレンが言えば

「このまま世界征服した方が早くないですか?」

とレイが言う

「バカを言わないの、私が忙しくて困りますわ。」

と答えて笑いを誘った。


最大戦力があっという間に全滅した報告を受けた公爵らは

「これでは勝ち目はない」

と白旗をあげた。



ーー 復興と新たな建国



そんな最後の戦いから1月、新たに王家を頂点とした王国が建国された。

「セシル王国」と言う名に変わった、これについて

「この国は一度滅びました、そしてセシル様の力沿いで新しく建国できたのです。これを教訓にその名を歴史に留め置く為にもセシル様の名を頂きました。」

とオレンジ王女に言われれば嫌と言えず、認めることになったのだ。


その後建国の為の復興支援のために私は、いくつかの魔道具製法と職人らのスキル向上の手助けであの果実を惜しげも無く与えた。

その後この国は豊かな国になったのは当然である。


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