第15話 女神教
ーー 女神教の活動活発化
私が創造神である女神に遣わされた者であることが分かった教会関係者は、今王都の教会本部で大論争中である。
「その者が本当に女神様の使徒であれば、我が教会にお迎えすべきではないでしょうか。」
「それよりも多くの人々に福音を持って紹介すべきではないでしょうか。」
「いや、女神の使命があるというのであれば、それを教会がバックアップしながら信者をより集めるべきでは。」
というような感じの話が延々と繰り返していたのだ。
その頃の皇教と言われる人物は隣国の聖王国の教会本部に居た。
「先ずは教皇様にお越し頂いて使徒様との面談をすべきでしょう。」
という声に他のものも頷く、
「して、その方法と連絡は?」
「使徒様は領主様であり自領の教会に特に厚い保護をしている方、教皇様がその行いに謝辞を述べにという理由では如何でしょうか?」
「それは良い、直ぐに手筈を整えよ!」
という話になったことは、使い魔の蜘蛛やネズミから連絡を受けていた私は。
「面倒だけど仕方ないかな。」
と今度ばかりは断れないと覚悟して準備を指示していた。
ーー 教皇スペード=トランプ 50歳 side
聖王国は女神教の信仰心の厚い王国で、国王がいるものの最高権力者は教皇様になっている。
その15代教皇スペードは今困っていた。
実は教会の聖女に信託が降りて
「使徒降臨、教会は全力で支援せよ」
という女神からの信託に
「どこの何方か、その年齢や性別名前を知らせてはいないのか?」
というのがその理由だ。
そんな時に隣国のスーザン王国の教会本部から緊急の連絡が入った。
「女神の使徒様降臨される。」
というものだった。
「隣国に現れたのか、何故ここでは無かったのか?」
と苦しさを滲ませる言葉に
「教皇様、使徒様は必要とされる場所に降臨されるもの。ここは使徒様の手を煩わせる悪がなかったということではありませんか。」
と言われ
「それもそうか、わしも老いたのでこの目で一目だけでもお会いしたいのだが。」
と言いながら痛む足腰を摩りながら部屋に戻った。
皇教は重い病に罹っていた、聖女の治療魔法で何とか生きながらえているが、もう身体の自由が効かないのだ。
どうかして一目でも使徒様に会いたい。
との思いでこれからの数日を過ごすことになる。
その頃聖女様はというと
「私ももう歳だわ、早く貴方に引き継いで田舎の教会でのんびりしたいわ。」
と年若いシスターに声をかけていた。
「聖女様、私はまだ未熟者です、もう少し聖女様の力をお貸しください。」
と答えれば
「何を言っている、素手の私の魔力を多く超えているではないか。そう言えば隣国で使徒様が降臨されたことが確認されたようだ、お前も隣国に行くことになるだろう。」
「使徒様ですか、どんな人でしょうか?」
「人となりや性別年齢はまだ分かっておらぬが、魔が身が使わした者だただ者ではなかろう。」
と答えてお茶を啜った。
ーー 聖王国からの訪問者
女神との対面の後2週間ほどしたところで教会から連絡が来た。
「聖王国の皇教様と聖女様が領主様にご挨拶されたいとのことです。」
来たか、と思ったが顔には出さず
「はい心よりお待ちしておりますとお返事ください。」
と答えて大まかな日程を聞くと部下に準備を指示した。
その後1週間して、
「明日の昼前にはこちらに到着予定です。」
との報告を受け伯爵家の屋敷と教会に人をやり準備をさせた。
ー 教皇様との会談
立派な馬車が荘厳な鎧を身につけた騎士により護られながら進んでいる。
教皇の乗った馬車だ、馬車内には教皇と聖女それに次の聖女の3人が乗っていた。
「もう間も無くにようですね、教皇様。この辺りはとても裕福な土地のようですね実りは豊かで領民は皆健康そうに笑っております。」
と言う時期聖女の言葉に
「使徒様が収めている領地だ当然であろう。」
と教皇様が答える、少し病状が悪いようだ。
すかさず時期聖女が治療魔法を発動し体調を保たせる。
「すまぬな、このような身体でお会いする不敬を許してくださるであろうか。」
と呟くと教皇。
ー 屋敷にて
荘厳な馬車の列をお迎えした私は、降りてくる教皇らしき男性を見て直ぐに感じた。
「かなり体が病魔に蝕まれているわ。これでは帰りまで持たないかもしれない、ここで病死なんて国際問題にもなるし・・・。」
挨拶もそこそこに部屋に案内すると付いていた聖女様に
「失礼を承知でお尋ねしますが、教皇様はかなりお悪いご様子。もし宜しければ私は治療してもいいですか?」
とこっそり尋ねれば、大きく目を見開いて
「もしそのような事が可能であれば是非にお願いいたします。」
と深々と頭を下げた。
その後聖女の案内で教皇様の前に行くと
「教皇様失礼しますね。」
と言うなり
「全ての病よ立ち去れ!」
と原因が分からなかったのでそう詠唱して魔力を流して治癒魔法を発動すると、教皇様の身体が激しく光、そしてその光が身体に吸い込まれるとそこには生気に満ちた教皇様がいた。
「これは何と言う事だ、今まであれほど苦しんでいた病が・・・女神様有難うございます。」
と教皇様は私に手を取り頭を下げた。
「これくらい問題ありませんわ、せっかく遠くから来られたのですから、私の自慢の温泉スパを楽しんでくださいね。」
と言いながら私は今日この部屋を出た。
残された教皇様との聖女と次期聖女は、教皇様の変わりように声も出なかったが
「使徒様とはここまでの軌跡を起こせるのですね。」
と時期聖女が言えば
「いや多分この度の使徒様は今までの使徒様とは次元が違うのかもしれない、それは子に世界がそれほどの危機に面してる可能性があると言うことかもしれない。」
と違う意味で緊張した教皇が呟いた。
その後の教皇様一行の状況は、孤児院や教会施設などの見学から領民への無償に近い治療などの報告がなされそれに対する教皇様からの謝辞という挨拶が交わされたのだった。
セシルが使徒だと言うことは暗黙のうちに秘密とされており、立場的には教皇がセシルに感謝の意を伝えたと言う形になっていた。
その後も教皇や年老いた聖女が温泉スパで日頃の疲れを癒し美容の効果の高い施術を受けると
そこにはまだ若々しい教皇様との聖女様が姿を見せていた。
人々はその若々しさに改めて畏敬と感謝を込めて教会を訪れて祈りをささけたのだった。
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