呪詛返しの呪詛師

Meg

プロローグ 葬式

 さめざめとした泣き声。線香のにおい。白い花。花の間に飾られた、女子中学生の写真。

 ろくは両親と一緒に、ひつぎの前で泣きじゃくった。


「姉さん」


 そこへ、色白の髪の長い少女がフラフラとやってくる。

 着ているのは写真の中の少女と同じ、中学の制服。キジトラの猫がつきそうように歩く。

 録はふりむくと、その人にくってかかった。


猫崎ねこさきさん、どうして姉さんの力になってくれなかったんですか!」


 その人は、生気を欠いたまなざしで姉の写真を見、ついで棺を見、最後にへたりこんだ。


「ごめんなさい。私、変わるから」


 とめどなく涙を流しながら。

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