満たされた幽霊
「上に誰かいらっしゃいます?」
「いるよ」
しまった。井戸の中に目から血を垂れ流した女性の幽霊がいて、つい返事をしてしまった。ヤバいかな、これ。すると、幽霊は鼻を啜った。
「最後に、好きな人の声が聞けて良かったわ」
幽霊は消えていった。……行方不明の元カノに似ていたな、あの幽霊。
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