第38話 久しぶりの休日②
「綾乃ん、義弟クン起きてー」
「茜さん、俺は起きてますよ途中から……ね?」
「ち、ちなみにどこら辺から起きていました……?」
「そうですね、写真を渡してるぐらいです。まぁ俺は別に写真を撮られてもいいので、ただ義姉さんにはバレないようにしてくださいよ?」
余程疲れているのか、義姉さんが全然起きてこないので何故か俺がおんぶすることになった。女性がいるんだから男性におんぶさせるのはおかしくないか? まぁこれも義姉弟だから許されるってものか。
よく考えれば女性に労働をさせるのも良くないしな。時と場合によるが力のいることは全て男性に任せておけばいいだろう。
「身長が同じぐらいだからどっちが年上か分からないねー。綾乃んも誰かの背中で寝るなんて珍しいこともあるんだ」
「いやぁ、義姉さんはずっと仕事してましたし疲れてるだけだと思いますよ? まぁその義姉さんに勉強しすぎだってつい最近怒られたんですけど」
義姉さんが俺の家に仕事に来たからバレた───いや元から知っていて忠告するために仕事をしに来たという名目で俺の家に来た可能性もある。
今俺の部屋に積み上がっている本は本棚を買わないと片付けようにも片ずけることができない。お母さんに送って欲しいとは言ったがあそこまでの量が送られてくるとは思っていなかったので本棚が不足しているのだ。
「んぁ、おはようございます……。目的地には無事ついたようで良かったです……」
義姉さんが起きたので俺は義姉さんを下ろして、目的地らしい大型ショッピングモールの中に入った。俺がいつも買い物しているショッピングモールよりも大型で映画館など、様々な物があるらしい。
歩きだと多少距離は遠いかも知らないが電車を使えば気軽に来れる距離ではある。
「今日は外食許されたんだね。久しぶりの外食だと思うしそっちが食べたい物を決めていいよ、俺はなんでもいいから」
「それじゃあお言葉に甘えさせてもらいますね。吹雪ならそう言うと思って最初から決めてある場所があるので早速向かいましょう」
そうして俺たちが入ったのは全てのメニューを7割引きで販売している学生たちに優しいかの有名なイタリアンのお店だった。
「ここ、クラスの皆さんが美味しいと言うので1度来てみたかったんですよね」
良く考えれば俺も来たことないかもしれない。小学生とか中学生の頃は桐木さんのご飯を食べていたし一人暮らしを初めてからは毎日自炊なので俺も義姉さんと同じぐらいには外食をした事のないのかもしれない。
「俺も初めてだから楽しみだなぁ。安くイタリアンを食べれるらしいよ?」
「2人って外食が久しぶりな上にここに初めて来るの?」
「そうですよ?」 「そうだよ?」
「こ、これが時雨家の子供……」
店の前で雑談していてもお腹が空くだけなので早速店に入ると結構人がいて少し待っておくことになりそうだ。店の中には学生っぽい人の他にも家族できてる人も多く見られた。
しばらく待っていると店員さんに席へ案内された後に注文方法を教えてもらった。珍しくここは店員さんが直接注文を聞くスタイルではなく自分で頼みたい料理の番号を記入するスタイルらしい。
「全部美味しそうなだし安いね。このクオリティーの料理がこの値段で食べられるんだからそりゃあこんなに人が来るよね」
どれも美味しそうでとても悩んだがとりあえず候補の中で1番安いやつを選んだ。(節約思考)
頼んでからまだそこまで時間はたってないと思うのだ後、俺たちが頼んだ料理は運ばれてきた。
料理が運ばれてきたので早速食べ始めるが、本当にこの値段なのかと疑ってしまうほどに美味しかった。
「吹雪のも美味しそうです……。ひ、1口貰ってもいいですか」
「ん、それくらいなら全然いいよ。はい、熱いから気をつけてね」
俺が義姉さんに1口渡すと義姉さんも俺に1口分けてくれた。どの料理本当に美味しい。
「なんか、周りが見てるのに2人ともすごいね。バカップルみたい」
「何言ってるんですか? 義理とはいえ姉弟での恋人はないでしょう。恋人になるより
まぁ義姉という立場の方が色々都合がいいって言うのは義弟である俺にも理解出来る。恋人だったらできないことが義姉だったらできる。
「義姉さん呼びされるんですからこれを逃す訳にはいかないのですよ。正直義姉さん呼びにも納得が言ってませんけど」
「絶対小学生の頃ようには戻らないし、ものすごい妥協したとしてもお義姉ちゃんまでだよ?」
高校生にもなってねぇねとかお義姉ちゃんとかは呼びたくない、学校の人にバレたらどうしてくれるつもりなのだろう、一生話のネタにされるじゃないか。そもそもとして俺に義姉が居たってことだけで十分話題になるっていうのにそれに俺の呼び方の話題まで合わさったら今年中はネタにされ続ける気がする。
それから俺が義姉さん呼び方をどうするかを話しながらご飯を食べ終え、俺たちは次の場所へ向かった。
「……なんでみんな俺の家で集まるの? 別にいいけどさ」
俺の嘆きは盛り上がるふたりの声によってかき消されるのだった。まぁぶっちゃけいつも1人で話し相手もおらず暇ので泊まってくれるのが嬉しいっていうのが本音だ。
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