願いを叶えよう
天
第1話 願いを叶えよう
「おい、そこのガキ」
「え、あ、はい?」
「願いを叶えてやると言ったらどうする?」
「それは嬉しいのですが…私の目の前にいるのですか?」
「そうだぞ?」
「すいません、視力が生まれつき無くて」
「そうなのか、かわいそうになあ」
「じゃあ願いはなんだ?目を見えるようにしてほしいのか?」
「そうしていただけたら嬉しいですけど…」
「なんだ?やってやると言ってるんだ」
「出来るんですか?」
「信用しろよ、やってやんねえぞ」
「ああ!はい!信用します!」
「そうか、なら準備をする待ってろ」
「…目が見えるようになれば、空の星を見ます、読み聞かせでしか、存在を知らないのですが…とても綺麗なそうで、ぴかぴかと輝いてるところを見てみたいのです…」
「そうか…他にしてみたいことはあるのか?」
「はい!私のこの足で世界中を旅したいのです…!金ピカのお城…お菓子の家…商店街…わくわくします」
「読み聞かせで全て知ったのか?」
「そうです!他にも天空の島とか!」
「ああ、そうか…」
「お腹も空いてるので、そこら中に生えているクッキーのお花とか!この世には『雨』じゃなくて『飴』が降るところもあるそうな!飴は食べたことがあります!おいしかった、この場所はクッキーも飴もありませんが目が見え、自らの足で、手で…」
涙が溢れてきた
「ううぅ…くそっ…くそっ…」
「なんで泣いてるんですか!?トラブルでもありました?」
「すまない…俺たちのせいだ…!無意味な争いを繰り広げたばかりに…」
「…争い?とりあえず目が見えるようになれば…あなたのお役に…」
この世界にはお菓子の家も、天空の島もこの子の言った様なものはない
この子の想像しているものはひとつもない
しかもこの子は、足も手も無い
戦争が生み出した悲劇だ
この子は想像の世界で生かしてあげたい
この子と一緒に私も死のう
この世が想像の世界であって欲しかった
被害者が集まるスラム街に大きな銃声が響く
願いを叶えよう 天 @tensuke0628
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