第16話
ダンジョン前の冒険者ギルドに着き、昨日と同じくダンジョンに潜るための装備を装着する。
何度も対応してくれている受付のお兄さんに、今日も潜る時間などを告げダンジョンへ。
「今日は森エリアまで突っ切ろうと思ってるんだけど、いいかな?」
『はい、襲ってくるモンスターだけを倒しながら一直線で向かえばよいかと……それに新しいスキルたちを駆使すれば、走りながらモンスターを倒すことも可能で御座います』
頭にミナモを乗せた状態で、強化されたスキル海槍之魂で五本の海槍ツナミを作りだしそれらを宙に浮かし、全速力で走りだす。
途中グレイウルフやヒュージタイガー、緑の鹿型モンスターのグリーンディアーなどをすれ違いざまに倒し、魔石を集めながら進んでいく。
すると五分と時間をかけることなく森の端へと到着してしまった。
「明らかに昨日と身体能力が違うんだけど……」
『だから言ったでは御座いませんか、
ダンジョン内で煩悩を起こさせるようなことを言わないでほしい。
それにしてもこの調子なら、本当にダンジョン攻略が出来てしまいそうだ。
森に入ると、今までと少し雰囲気が違っていた。明らかに魔力の気配が濃いのだ。
そして警戒して進んでいると、木の上から猿型のモンスターがいきなり襲い掛かってきた。
【名前】未設定
【種族】イビルモンキー
【Lv】63
【職業】未設定
【スキル】登攀Lv6 体術Lv5 闇魔法Lv5
【情報】悪魔型モンスターと契約して力を得た猿型のモンスター 群れをつくらず木の上で獲物が通るのを待ち構えている
「急にレベルアップしすぎじゃない⁉」
今まで一番レベルが高かったのは、レッドウルフの23レベルだ。そこから一気に63って……バランスおかしくない⁉
『このダンジョンはフィールド型のダンジョンで御座いますので、ダンジョンの中心に向かってモンスターのレベルが上がるので御座います』
「つまりこの森がこのダンジョンの中心ってこと?」
そうすると、森の中心まで一直線で進めばダンジョンボスと戦えるということだ。
ダンジョンボスは経験値が他のモンスターと桁違いらしく、ぜひ倒しておきたいと思っていたのだ。
まだ見ぬダンジョンボスに思いを馳せてながらも、凶悪な顔をしたイビルモンキーを容易く討伐していく。
空中に浮かべた海槍の全てを差し向け串刺しにする。
「俺のレベルもグングン上がってるから、まだ問題ないけど、数が多いと分かんないな……」
『そういえば旦那様、薬指の指輪について伝えるのを忘れていました』
イビルモンキーの靄が集まっているのを眺めていると、ツナミが俺の左手薬指の指輪について話しかけてきた。
『その指輪に魔力を込めてみてください』
ツナミに言われた通り指輪に魔力を込めると、なんと俺の体の周りに翡翠の魔力がまとわり始めたのだった。
そしてその魔力は鎧となった。その青銀に輝くフルプレートアーマーは驚くほど軽く、軽快に動いても一切音が鳴らないのだ。
『その鎧は深海の圧力に余裕で耐えられる鎧なので、地上でその耐久性を抜ける生物など存在しないので御座います』
ドヤ顔をしているのが脳裏に浮かぶほどに、自信満々な声音を出しているツナミ。
実際その耐久性は目を見張るものがあった。
イビルモンキーの頭上からの奇襲をノーダメージで受けきったのだ。
新たな鎧のおかげで奇襲を気にすることなく1時間ほど森エリアを突き進むと、少し開けた空間に出た。
そこにはキラキラと輝いている大木と、その周りを取り囲む人狼のようなモンスターの群れがいたのだ。
『この気配は人間さんですか〜!?助けてください〜』
俺に気づいたのだろう大木から、ぽわぽわとした声が聞こえてきた。
意思の疎通が取れるということは、モンスターではなく魔物のヒトってことになるんだけど……。
『彼女はおそらく樹精という種族で御座いましょう……大地のが担当していた種族なので、このダンジョンにいるのは不思議では御座いませんが……』
ツナミは何か気になるところがあったんだろう。
しかし今にもモンスターに襲われそうなので急いで周りのモンスターを討伐しにかかる。
「とりあえず人狼のモンスターは七体だから、海槍七本出せば何とかなるだろ!」
先ほどの戦闘でその有用性が知れたので、ツナミの依代の複製を7つ作りだし、それぞれ人狼のモンスターに向かって差し向ける。
するとやはり一撃で人狼のモンスターは靄になったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます