君は熱しやすく火照りやすい
涼
僕だって…
ウリと、
小学校2年生の時、ちょっとした出来事が起きる。ウリが、帰り道、『今日は
(これ、ウリのだ…)
それに気づき、次の日、洗って、母親にアイロンまでかけてもらって、ウリに渡した。
「あぁ、ありがとう」
「うん」
もっと喜ばれるか、と思ったが、そうでもなかったので、正直、碧琉は、残念に思った。
しかし、成長するにつれて、状況はさらに変わってきた。それは、小学校4年生の時。4時間目が終わり、お昼休みになり、ウリは、トイレへと立った。
その帰り、ウリは、なんの気なしに、ハンカチを廊下に落としてしまったのだ。すると―――…。
「ウリちゃん、ハンカチ、落としたよ!」
(!確か、4組の
あっという間に、ウリの瞳は恋する乙女になった。
「ありがとう!田川君!」
こうして、初恋は花開いたのである。
そして、その帰り道、ウリは、その事を碧琉に話した。
「優しいと思わない?碧琉!しかも、<ウリちゃん>だって!ウリ、もう好きになっちゃった!!」
「へー。良かったね」
「なに?碧琉、なんか冷たい!」
ウリが不満そうに、碧琉にきつく当たった。それで、
「あ、いや、そんな事ないよ!!良かったね、本当に。上手く行くと良いね」
と、碧琉は、慌てて笑顔を作った。
碧琉が、素直に喜べないのも無理はない。2年前、全く同じ事…どころか、もっと丁寧に自分はウリにハンカチを渡したのに、この違いは何なんだろう…?と。
しかし、それで留まれば、なんの問題もなかった。碧琉が、ちょっとヤキモチを焼けばいいだけの話だった。それなのに…。
―2ヶ月後―
「ねぇ!碧琉!聴いて!聴いて!」
「あ、おはよう。ウリ。朝から何?ん?足、どうしたの?」
「あ、うん。聞いてほしいのは、この事なんだけど、今朝ね、うさぎさんのお世話の当番でね、その小屋の中で転んじゃったの。そしたら、7組の
「…そう…だね…」
またまた、ウリの瞳は、恋する乙女になっている。しかし、ほんの1週間前、一緒に下校していたウリと碧琉が歩いていると、自転車が無理矢理歩道を通って来て、ウリにぶつかりそうになった。咄嗟に、碧琉は、ウリをかばい、自転車にぶつかった。その自転車に乗っていた、高校生らしき男子は、転んだ後、謝りもせず、
「ちっ!」
と、舌打ちを残して、怪我をした碧琉とウリを放って、去って行ってしまった。
「う…うあーん!!いたーい!碧琉ー!」
「だ、大丈夫か?ウリ。ほら、これ、絆創膏。今、張ってあげるから…」
碧琉は、自分の傷も後回しに、とにかくウリを泣き止ませる事と、傷に絆創膏を張るのを優先した。
それなのに、泣き止んだウリは、ありがとうも、ごめんねも無かった。
この違いは何だろう?そして、この気持ちは何だろう?何だか、妙にイライラする。
その気持ちを、碧琉が自分で意識し始めるのは、中学に入ってからになる―――…。
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