第10話 蝶々

娘は蝶々のシールを集めるのが好きだった。

だから棺の中にも入れてあげた。

灰になった娘を少し、ペンダントトップに入れて海へ行った。

崖から一歩踏み出そうとした時、強い風が私をなぎ倒した。

尻餅をついて見上げる、月光を浴びて飛び交うシールの蝶々たち。

私は初めて声を上げて泣いた。

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