転生してきた第1位の影勇者は、元魔王な件。

白咲焰夜

序章 第1話 〜プロローグ〜

「魔王……ヘルフリート・アイリス!!

待たせたな!! よくも、よくも!!

俺たちの英雄様たちを!!」


 と、斬りかかって来ようとした

100代目の勇者に向けて、

俺の魔法で……木っ端微塵に滅ぼした。


「つまらぬ。何故、俺以外の人間はこんなに脆いのか?」


 そう。俺は元人間。

そして、100代目の魔王だ。


 何故、そうなったか?

その理由が知りたいだと?

良いだろう。特別だぞ?


 俺は、昔……強さに拘っていた。

だから、ありとあらゆる最強をぶっ潰してきた。そしたら、いつの間にか99代目の魔王を倒した瞬間、悪魔族の呪いにかかってこれだ。


 この悪魔族の呪いを断ち切ることで、転生する。どんな者になるかはある意味……ガチャだがな?


「まぁ、所詮はこんな程度……

もう一度、人生をやり直してもいいだろうな。」


 そう言って、俺……ヘルフリート・アイリスは魔族達に何も言わず、悪魔族の呪いを断ち切ったのだった。


 そして、転生した所は……。


「見て? あなた! 私達の可愛い息子よ!」


 優しそうで、包容力がある女性だった。

恐らく、母親だろう。


「あぁ、そうだな!! しかし、この可愛くて強そうな子が俺の子なのか!!

なんか、嬉しくて目から雨が流れてるぞ!!」


 そして、この一見弱そうに見えて……気がしっかりしている涙脆い男性が父親だろう。


 どれ、ステータスを見てみよう。

うむ。魔王の時と全くと言っていい程……変わってないだと? 転生したのだぞ?


 少しは、変わっていても良かろうぞ。

と、愚痴っても仕方なかった為……大人になるまで、ステータスをあべこべにしておいた。そうではないと、折角……転生してきた意味がない。


 あ、うんこ漏れた。


「うわぁーん!! うわぁーん!!」


 そう泣いておこう。うん。


 ━━━それから、10年の時が得た。


俺、ヘルフリート・アイリス改め、アイザック・エリックは……

こんな人気のなくしかも、強力な魔物が住み着いてる森の奥地に家があり、そこの近くで、今……農業をしている。

農業はいいぞ? 俺の魔法や魔術を使って美味いものが作れる。


しかも、生で食べれない奴でも食べれるのだ。安全性は保証しよう。


更に……俺の農作物が世界で受賞を取るほどだ。やはり、こういう事に力を使うのが1番……幸せに感じる。


 あんな殺伐とした環境なんか真っ平御免だ。

 さて、今日も農作業に取り掛かるとするかな……と、思ってたら。


「おい! お前! ここは危険なんだぞ!? そんな事も知らねぇのかよ!」


 そこには、金髪の少女が現れていた。


「なんだ? 貴様は?」


 と、俺は言った。

すると、相手は即答で答えた。


「俺は、勇者ランク 第2位……光の勇者 ルーガス・レイだ! ここら辺の調査へとやってきた!! この家に住んでいるのか?!」


 なるほど、これが今どきの俺っ子か。

と、関心してる場合では無い。


「そうだが? ここに居てもなんだから、上がれ。今、茶を用意……」

「こんな事をしてる場合ではない!!」


 あ、なんか……俺の話を遮られてしまった。悲しいかな。悲しいかな。


「あなた、本当に分かっているの?


ここの近くには魔王の城があってしかも強力な魔族がいるのよ?


こんな所に住んでる場合じゃないわ!!」


 と、言った直後……遠くから魔物の声がした。その正体とは……そう。

知能が1番低く、脳筋と言われているが……スキルや性能は1番ハイスペックである……ゴブリン・ドゴラン。

ゴブリンにドラゴンの血を無理やり入れ込んだ。魔王の隠し種族。この森の中で、武術の威力と言われれば最強格の1匹だ。


「あぁぁぁああ!!

だから、言わんこっちゃない!!


ここは、俺が何とかするから

その間に逃げて!」


「ほう? では、高みの見物と行こうかな。」


 と、言い……俺は近くのベンチに腰掛けて観察していた。


「ふざけてるの?! 早く逃げて!!

きゃあぁああ!!」


 レイは、よそ見していたからか……1発辺り、その威力で体が痺れているのか、起き上がれずにいた。


 そのゴブリンは、最後の一撃を与えようとした。その時……。


「止まれ。」


 と、俺が言うと……周りに邪悪なオーラで、包まれたゴブリンがもがき苦しみながら地面に這い蹲っていた。


「どう……して……?」


「俺は、家族の願いでここに住んでいる。

そうじゃなければ、俺はここなど住むメリットなどない。


それを邪魔する奴は……いくら、

人間だろうと……容赦はしない。」


 と、軽くどす黒いオーラをレイに与えながらも……俺の根源魔法を使い、しかも無詠唱で回復させた。


「無詠唱で……かんぜんかいふくですって!?」


「分かったなら、さっさと消えろ。

俺がこいつの相手してやるから。」


「……いいえ、見てるわ。」


 何か、企んでいそうな眼差しだったが……まぁ、いい。


「さぁ、掛かってこい。お前なら、

暇潰しにでもなってくれるか?」


 勝負の結果は……俺の圧勝だった。


しかも、挨拶がわりの俺のお得意である

属性魔法攻撃で……木っ端微塵になってしまった。


 つまらぬ……非常に……つまらぬ。


 こうして、ヘルフリート・アイリスを改め……アイザック・エリックの転生生活が始まったのだった。


 だが、この時のエリックは……これから起きる事をまだ、知るはずもないのであった。まさか、そんな出来事になる事とは……。それは、神のみぞ知るお話である。

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