残したメッセージ
鈴木結華
残したメッセージ
心が割れる音がした。
君の死体があった場所には、多くの花束が。
「死んだんだ」
ようやく実感した。いつも隣にいたのに。
ふと横を見ると君が、そこに。
驚きは一瞬だった。
抱きしめたい衝動に駆られるが、しない。
恋人ではないから。
君が死んだのは、僕達が恋人になるはずだった日。
君は無言で立ち上がると、一度も振り返ることなく木の中へ消えた。
君に手を振ろうとして気づく。
手の中に桜の花弁。
最期まで変わらぬ君に少し泣けた。
残したメッセージ 鈴木結華 @nanamika
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