二人で踊ったあの日は夢向こう

蒼キるり

二人で踊ったあの日は夢向こう

美しさよりも強さが欲しかった全てを守り笑えるような


大事に抱えても無意味な欠片と知りつつ歩く出口なき道


爪先から顎先まで凛としてきみは強いね僕は要らない?


綺麗ねと指差された肌も捨てる だからどうか置いていかないで


ねえたとえばどこからどこまでが自分でどこからがきみなんだろう


強さは頑なさ、いっそさよならだ だって柔らかにきみと溶けたい


本当はつめのいろどりこそわたし 剥いて剥ぎ宝物箱へポイ


きみが歩く時いつも音がすると言ったら笑う?しゃらしゃらと


抱きしめて毒でもいいよ君ならさ 白詰草を煮詰めた声で


名前なんて知らない君への気持ち綿毛で飛ばせいつか芽吹くよ


待っていてと言い続け続けめまい なんて残酷なんて自由


お前はいつだって忘れて笑って自分の傷も忘れるな馬鹿


置いて行くななんて言って笑わせる 先を行くのはいつでもお前


下げ替えてそれで済むならそうしたいお前は爪までお前なのか


いつか星をお前に飾って首輪の代わりにするきっと泣く日だ


溶けそうで怖くて触れる指先よ 炎でも抱いたのかと嫉妬


ほんとはそのままのお前が一番 変わり果てた亡骸に笑う


焼き付いて離れぬ光それは死と何が違うの深い泉へ


贈れない大海原にお前はやれないだって欠片まで好きだ


綺麗なものなんていらなかったんだ、だってお前以上なんてない

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二人で踊ったあの日は夢向こう 蒼キるり @ruri-aoki

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