花嫁が嫁いだ相手は、ご令嬢でした! でも、私はソッチ系じゃありません!

甘い秋空

第1話 花嫁、辺境伯爵家に立つ!


 伯爵家の屋敷の前、私の乗る馬車がとまりました。

 お屋敷は、思っていたよりも大きく、シックで、好感が持てます。


 お屋敷の上、空は高く青いですが、遠くに黒い雲が見えます。


 玄関前には、メイドたちが整列し、中央には着飾った伯爵夫人らしき女性がいます。

「優しい方々だと良いのですが」


 銀髪で黒い瞳の私、王都の伯爵令嬢 カオル・コン・ワレニャン(16歳)は、このお屋敷のヒロミ様に嫁ぎます。


 政略結婚であり、急なお話だったので、まだ絵姿すら見ておらず、期待と不安で胸が押しつぶされそうです。


 馬車の扉が開かれ、私は新しい領地での第一歩を、今、踏み出します。


 私の少し高めの身長に合わせ、花嫁衣装を思わせる白いドレス、オシャレで付けた後ろの少し長いスソが馬車から揺れ落ちます。

 

 迎えてくれた伯爵夫人は、私より少し小柄で、金髪碧眼の美人です。

 しかし、衣装は花嫁みたいな白いドレス、後ろの少し長いスソ、これでは、どっちが花嫁か分かりません。


「王都のワレニャン伯爵家 令嬢 カオルと申します。よろしくお願いします、お義母様」

 ご挨拶を申し上げました。


 ん? なんだか、皆さんザワザワしてますね。


「本日、ここ ローリー伯爵家 ご子息 ヒロミ・ダ・ローリー様に嫁いでまいりました」

 迎えてくれた奥様は、とてもお若く見えます。けど、お顔が真っ青です。


「ローリー伯爵家のヒロミは、私です、一人娘です、女性です」


「・・・ へ?」

 ヒロミという名前は、男性、女性どちらでも使う名前です。もしかして、、、

 新しい生活を前に、猫をかぶっていましたが、一気に素へ戻りました。


「カオル様、ここでは人目に付きます、すぐに中に入って下さい」

 ヒロミ様、いや、ヒロミ嬢に続いて屋敷の中へ逃げ込みます。



 玄関脇の応接室に案内されました。屋敷中でアタフタしてる声が漏れ聞こえてきます。


 窓から外を見ると、私の荷物を屋敷に運び入れています。

「私の帰る場所は、、、もう無いのね」


 兄が結婚したため、実家に私の居場所はもうありません。

 なにより、私の結婚を、涙を流して喜んだ両親の、、、あ?


「両親が早とちりしたのが原因だろうが!」

 黒い雲が広がり、雨が降りそうです。


 私は、嫁ぐことが出来るのでしょうか、、、




あとがき

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 よろしければ、★★★などを頂けると嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る