借金まみれでスキルが暴走しそうな義肢装具士はダンジョンに潜ることを決めた ◇最新義肢はダンジョン産◇

化課下欄

序.王の轍

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「・・・すまない、異世界の住人よ。我ではもう抑えが効かなくなってしまった。異世界の王よ、どうか・・・どうか・・・」


「決して敵を前に臆してはならない!決して仲間を見捨ててはならない!我々は前に進み続けなければならない!我々は敵を殲滅せねばならない!続け!我らが王が道を切り拓く!」


「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


 エクスプローラ達がそれぞれの武器を天に掲げ魂の叫びを上げる。

 発破をかけたノアは満足気だ。隣にいる星雲せいうんは顔を引き攣らせまいと表情筋を酷使している。


「何だってこんなことになっているんでしょうか?」


「そりゃお前、あれだろ。セイウンが王だからだろ?」


 星雲は隣に立っているノアにしか聞こえない声でボヤき続ける。


「いやぁ、私はただの義肢装具士で、ただのエクスプローラですよ?何だって後ろにいる連中を引き連れて戦いに出向かなければならないんですかね・・・」


「今さらそんなこと言うなよ、セイウンはただ先陣を切って前に進んで行けばいいのだ。ほれ、敵がやって来たぞ・・・思ったより多いな」


 眼前にはモンスターが始まりのダンジョンの周りに溢れかえり、ブレーンワールド156の兵士が後ろに控えている。

 星雲は大きく息を吸い声を張り上げる。


「遠距離部隊ッ!!ぶっ放せ!!」


 遠距離部隊の攻撃は威勢よく戦いの狼煙をぶち上げた。しかし、星雲はどうしても思うのだ。何故こうなってしまったのかと。

 時は数年前にまで遡る。それはまだ星雲がスキルを制御出来なかった頃の話だ。

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