第19話 ギルド登録、難し過ぎるど

ギルドの受付嬢に称号板ステータスプレートなるものの提示を要求された。


どうやら冒険者はそれを所持していることが普通らしい。ずっと片田舎で冒険とは無縁な15年を送ってきた僕はそんなもの持っていなかった。


「あります!」


チャラガは持っていたようだ。


チャラガは称号板に自身の手をかざし、情報を映した。


チャラガの情報が板に浮き上がる。

これは男子からするとちょっと感動的なガジェットだ。


=====================

チャラガ

性別:女


VPヴァイタル・ポイント:200

MPマナ・ポイント:50

物理攻撃力:35

魔術攻撃力:45

防御力:30

治癒力:45

魔法耐性:25

俊敏力:55

飛撃命中率:75%


■スキル:

火球ヴォリーダ

癒しの舞

戦の舞 ―紅葉―


職業:舞踏家

称号:はぐれおどりこ

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—————もろに「英語」が使われているな…英語=古代語じゃないんかい…この世界のルールどうなってんねんというツッコミはさておき、おそらく古代語の名残みたいな感じでちょこちょこ使われてはいるっぽいな、韻繰詩語いんぐりしご


そして、前世、ガキの頃遊んだようなゲームのステータスウィンドウの内容みたいなもんがこの板には表示されるというわけか。


そして、受付嬢のお姉さんがくすっと笑って一言。

「大丈夫ですかぁ?こんなステータスでは難易度の低いダンジョンでも命を落としてしまいますよ♪」


—————なんで嬉しそうなんだよ!


チャラガはしょんぼりしてしまった。

「ヮ………」

なんか小さくなっちゃってかわいそうだ。


「まぁ、そちらの男の子くんが主体でクエストをこなすっていうならぁ話は別ですよ♪あっ、称号板持ってないんでしたね♪今お貸ししますね♪」


受付嬢は称号板を取り出し、僕に手をかざすように伝えてきた。

いざ自分のステータスを見るとなると、興奮してきたな。


「どれどれ…」


板に手をかざすと、僕のステータスが現われた。


=====================

アストラ・P《ペー》・ブリクストバーン

性別:男


VPヴァイタル・ポイント:170

MPマナ・ポイント:40

物理攻撃力:40

魔術攻撃力:30

防御力:45

治癒力:20

魔法耐性:20

俊敏力:40

飛撃命中率:15%


■スキル:

言霊 【スキルランク:???】



職業: 吟遊詩人 【見習い】



—————………………ん?


んん??!


なんか僕、めっちゃ弱くねえか??!


受付嬢が苦笑いしだした。

「うふふ~ うーん………。あなたたち、2人だけでクエストなんか受注したら即死しそうね…よくここまで旅して命があったわね…」


そして、一番下の称号に目を遣り、突然絶叫した。


「いやぁぁぁぁぁァァァァァ!!衛兵来てェェェェェ!!!」


何事かと思い、僕も称号を目にすると、こいつは由々しき事態だった。


………


称号:極悪犯罪人 【罪状:国家転覆罪】

=====================


「チャラガ、逃げるよ」


「ふえっ?!」


—————くそっ、すでに「御触れ」が発行され、どういう仕組みかは知らんがステータスにまで反映されているらしい。


衛兵が追ってきた。


—————悪いけど、ここで捕まるわけにはいかないんだよね!傷つけない程度に足止めしなきゃ!


〽「君らに僕は追えないよ、 

腹に溜まった昨晩のアルコールで 

急性アルコール中毒で危ないね 

こんな時まさに “追え~追え~”が?」


衛兵に言霊がヒットし、追ってきた彼らは急に千鳥足になり、走るはおろか、歩くこともままならなくなった。

そして、片膝をついたり、倒れたりし、嘔吐を始めた。

「おええぇぇぇぇ」


「効いたよね、速めの駁論ばくろん!」


「なるほど、掛詞かけことば二十魔法ダボレンタンドラをかけたのね!」


「ま、お粗末な駄洒落だけどね!さ、行こう!」


もうそろそろ日も暮れるのに宿屋代も稼げないまま、チルドコリンの町を後にする僕とチャラガであった。

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