第66話 ガホンの森

 ガホンの森の入り口に数十人の冒険者たちが集まっていた。


 冒険者たちは武器や防具、魔法のポーチの中に入っている魔道具や食料の確認をしている。


 プレートの色を確認すると、EランクとDランクの冒険者が多かった。


「どうやら、炎龍の団の団員は来てないみたいね」


 アルミーネは周囲を見回す。


「ここにいる冒険者は私たちみたいに炎龍の団から依頼されたパーティーかな」

「みたいだね」


 僕はマントのポケットに触れる。


 魔法のポケットには特別な効果がある紙をたくさん収納してきた。きっと今回の仕事でも役に立つはずだ。


「あ、ヤクモ!」


 背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

 振り返ると、そこにはライザとテトがいた。

 ライザが笑顔で僕に駆け寄る。


「あなたも炎龍の団に依頼を受けたの?」

「うん。ライザたちもそうなんだね」

「ええ。最近、ずっとガホンの森で探索をやってて土地勘があるから。それに私たちもラックスさんの遺体の発見者だし」

「でも、僕たちで大丈夫かな?」


 テトが不安げな表情を浮かべる。


「ドーズル教の神殿探しなんて、絶対危険だよ。信者が襲ってくるかもしれないし」

「でも、依頼を受けたいって言ったのはあなたでしょ?」

「だって、依頼料が高かったから」

「依頼料が高いってことは、危険な仕事ってことよ」


 ライザはテトの額を人差し指で突いた。


「まっ、あなたは才能あると思うし、戦闘経験を積めば、Dランク以上の冒険者になれるよ。そうなれば、もっと高い依頼も受けられるから」

「うーん。僕に才能あるのかな?」

「あるって。あなたは恐がりで失敗も多いけど、基礎魔力が多いし、剣の扱いも上手い。頑張れば魔法戦士になれると思うよ」

「魔法戦士かぁ。なれたらいいけどなぁ」


 テトがふっと息を吐き出した。


 ライザは視線を僕に戻す。


「というわけで、よろしくね」

「うん。よろしく」


 僕は差し出されたライザの手を握った。

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