第43話 再会前のリアル本前兆
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勝敗が付き、最恐が目覚め立ち去った大地は一人燃える。
まるで俺を見ろ、と言わんばかりに熱い熱い炎を燃やし続ける。
地上が急激に熱せられたことで上空との気温差から雨雲が生まれる。
大地は紅の熱い気持ちに感化されたように、冷たい水にも負けないぐらいに燃え続ける。
水はじゅ~と音を鳴らし液体から気体に状態を変える。
雨の勢いが強くなって天候がどんどん悪くなっていく。
その光景を見たものたちはもしアレンが生き残っていたら、、、
――世界が崩壊するまであの化物が暴れ続けた
と錯覚を覚えた。
だが、その錯覚は妙にリアルでどこか真実を纏っているような……気持ちにさせられる者たち。
「里美もどうやら勝ったようで一安心ですね」
特別観客席に居た小百合は胸に手をあて一安心の様子を見せる。
それを隣で見た青い長髪が特徴的でスタイル抜群の天才少女はこう呟く。
「知り合いだったのコイツ……てかプレイヤー?」
何かを疑いながらも少し察した様子のエリカに笑顔を見せてお返事をする小百合。
「細かいことは聞かないけど一つ教えて欲しいのだけれど」
「何を知りたいのですか?」
「紅君とは仲良しの知り合いじゃないのよね?」
「もしそうだと言ったらどうします?」
疑いの視線を向けるエリカにニヤリと悪い笑みを浮かべる小百合。
エリカから見た小百合は間違いなく挑発しているように見える。
「気持ちがないなら別にどうもしないわよ」
「そうですね。あるとすれば告白された、ぐらいですかね」
「はぁ”!?」
今まで誰も聞いたことがない低い声と誰も見たことがない殺気。
今なら生産職の壁を越え、一人で小百合を圧倒しそうなぐらいに溢れ出る純粋な殺気は本物。
エリカが紅を想う気持ちは本気でそこに一ミリのブレはなく、紅に対する悪い冗談や恋心を弄ぶ悪い冗談は通じない。
(本気で怒った……?)
ただし嘘は付いていない小百合は返事をする。
「私も少し前に知ったのですが私と彼は知り合いです。それも現実世界で付き合いがある関係です。だからエリカさんと彼を今日会わせる手引きも比較的簡単にできたわけです」
「それで二人はどういう関係?」
「それは今夜ご自分で確認された方が宜しいかと思いますが」
紅が去ったフィールドと同じように、
バチッ!!!
と、少女たちの何かに火が付き何かが激しく燃え始めたようだ。
「ふふっ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
その後、二人の間に生まれた沈黙はとても重く、目に見えない火花を散らし始める。
さて紅こと蓮見の御身は如何になるのか……。。。
ここまで沢山の火種を両方の世界に残して来たのだ……いつかは芽を出し成長し実を結ぶ日が来てもしょうがないと言えよう。
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