第3話 青春の目薬


 なつかしきおもひでありぬ目薬のしみたる白き痛みの奥に



 「なつかしいおもいでがあった。目薬のしみた白い痛みの奥になつかしいおもいでがあった」という歌です。

 目薬会社さん宣伝に使いませんか?

 「青春目薬っ!!」って感じですよ。

 これは、現在の短歌として読めばそんなに特異ではありません。私なんか、やっぱりこの歌を読むと目の奥がちょっとじんとしたりしますよ。

 でも、この当時(1910年代)としてはわりと新しい感覚ではないかと思います。この時代の普通の短歌では「なつかしきおもいで」につづいていきなり「目薬」は出てこないだろうと思う。

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