第142話 みぞれ


その日は

晴れているのに雨が降るような

そんなちょっと変な日で

道端の花もどこか

不思議そうにふるふると震えていた

僕はと言えば

灰色の雲の合間に広がる

何層かに分かれた夕焼けを見ながら

ぱらぱら降り注ぐ細かい氷の粒を

両手で受け止めていた

ゆっくり暮れていく空

一瞬で溶けるそれは

失われる命のように儚くキレイ

それがどこか哀しくて

なのになぜかやめられなくて

ずっと空に手をかざしていた


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