第117話 無


何も感じなければいいんだろう

薄笑いで受け流して

何もかも見えていないフリをしたまま

自分自身にも見ていないと言い聞かせ

受けた傷も感じた痛みも流れる血も

見なければ同じことさ

感じなければ同じことさ

何もない、何もない

圧倒的虚無の渦に沈められて

何も感じなければいいんだろう

薄目のままあたり見渡して

はっきり焦点を合わせなければ

そんなのなかったのと同じだから

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