第104話 朝までの距離


自分というなけなしの存在意義を

手探りで確かめてるような夜に

名前も知らない黒い鳥が鳴いた

耳が痛くなるほどの静寂の中で


握りしめたぼろぼろのブランケット

冷える足先がそれでも求めるのは

ぬくもりなのかそれとも

体の芯まで凍えそうな冷酷か


真夜中の片隅で膝を抱えて

俯きながら聞き、感じる

右目から流れ続けている涙を

空に投げ出された星の亡骸を


堪えきれずついた溜息が

真夜中へと溶けてゆく

等間隔で刻まれるリズム

白む朝まではまだ遠い




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