第67話 月の言葉


山の上に

ぼやけた月が出ている


少し欠けた姿に

そういえば満月から

数日経ったと思い出し

うっすら掛かった雲に

滲む光を見ている


満月のあの

強くまっすぐな輝きも

今日のこの

ぼんやりとした妖しさも

月はあまりに雄弁で

あまりにも無口だ


月の言葉を知りたくて

目を凝らすように空を見る

物言いたげなその光は

今日もまだ黙っている

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