第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部

朝月沙都子

百花擾乱

退屈なをとこすずらん抱いて来る

口説いてんのか薔薇園へ行かうとは

生酔ひの帯触れもせで白牡丹

ざつくりと活けてダリアの淫靡な緋

さみしさにちぢむ脳梁凌霄花

鎮痛剤噛んで紫蘭の雨を視る

またすこし歪む胸骨カンナ炎ゆ

あぢさゐや傷の火照りのうす笑ひ

一点の痣も赦さず泰山木

芍薬の蕾に破瓜の血のわづか

くちなしやをんなの腿にある刺青

叶はざる恋こそ愉しバナナ熟る

アイドルの吐く嘘きれひアマリリス

ガーベラやひとは案外死なぬもの

月下美人観るためだけの椅子を引く

睡蓮や受肉の指の重だるし

卑俗とはあたしのことか百合の花

ひるがほやをんなに歳を聞くな莫迦

うつし世のどの桜とも目が合はぬ

雛罌粟やまたねと言つてそれつきり

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第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部 朝月沙都子 @satoko_asatsuki

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