花詩

風に揺れ 水面に揺れる 花筏 伸びて往く影 かえらぬ背中

「好きだよ」


こぼれ落ちてく


言葉が

想いが


繰り返される

あの日の景色


繰り返されぬ

あの幸せな日々



桜と風が連れてくる香り

目を閉じれば浮かぶよ記憶

菜の花のように華やかな笑顔

小鳥が囀るようなその声


この樹の下で言葉交わした

花が咲く頃に想い交わした

空から射し込む光を隠して

揺れる木漏れ日が君を隠して


朱く染まりゆく木々と空色

雪の花咲く頃は手を繋ぎ

また季節色づく頃に君は

前よりももっと綺麗になって


繰り返される変わらぬ景色

巡る季節と変わっていく君

あの頃のままで許されぬから

繋いだその手をそっと離して



「好きだよ」


こぼれ落ちてく


感情が

想いが


蘇ってく

約束の記憶


黄泉に還ってく

叶わないままに



交わした約束はあの頃のまま

告げた想いもあの頃のまま

流れてく時は止められぬまま

変わらぬことも許されぬまま


この樹の下で言葉重ねた

花が咲く頃に想い紡いだ

空から射し込む光照らして

揺れた木漏れ日に君が笑って


重ねた葉音が奏でた音色

朱く染めた手を包んだ温もり

季節過ぎるたび愛しさ積もり

前よりもずっと好きになっていて


時が過ぎれば巡るはずの景色

それでも確かに時を重ねて

歩き出す道が違ってるなら

繋いだその手をそっと離して



「好きだよ」


って

言葉が

想いが


こぼれ落ちてく

こぼれ落ちてく


感情が

想いが


繰り返したい

あの日の景色


忘れたくない

あの幸せな日々


舞う花びらが重ねた花筏

想い乗せたまま流れて散って

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