第3話 幽霊


ある日、わたしの心臓は音を鳴らすのをやめた。


眠りにつくと同時に、わたしは死んだのだった。


でも、おかしい。


祖父母が私の名前を一生懸命呼び、お母さんがどこかに憔悴しきった様子で電話している。

お父さんは私に心臓マッサージをしていて。


ベッドの中の私は、青白い顔をしていて、

瞳は閉ざされていた。


「.........どういうこと?」


混乱して、頭が真っ白になる。


おばあちゃんが私の体を揺さぶると

私の腕はだらりと垂れ下がった。


もしかして、私は幽霊になったの?


ありえない。


でもこの状況は信じざるを得ない。


「香澄!!!」


泣き叫ぶお母さんに、胸が苦しくなった。


お母さん、私はここにいるよ。


そう言って安心させてあげたいのに

すぐ側にいるのに声も届かず、姿も見えない。


それが、とても心苦しかった。




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