第5話 新たな違和感、そしてヒント

 ウサトに置いていかれたわたしは、噴水あたりで待機することにした。

 わたし今、『反転リバーサルタウンの秘密』の中にいるんだ。

 こういうの、聖地巡礼って言うんだっけ?


 そんなことを考えつつ噴水に座ろうとして、水底に花の模様があることに気づく。

 花は全部で6つ、1丁目~6丁目それぞれの方向に向けて1つずつ描かれていた。

 色は1丁目から赤、青、黄色、白、紫、ピンクとなっている。


 なんか――さっきと似た”違和感”。

 これ、もしかしてヒント!?


 地図を見ると、さっき同様、噴水部分が赤く光っている。

 タップすると、水底の花が拡大されたものが表示された。

 でも何のヒントだろう?

 花はあちこちに咲いていて、区画ごとに色が揃っているわけでもない。


 ――あれ? 光ってる部分が増えた!?

 ウサトが何か見つけたのかな。


 タップすると、【3丁目2番地の6 マリンタワー514号室】と書かれていた。

 リスタの家の住所かな?

 ウサト、そんなところまで追跡したんだ。


 しばらくすると、2人が消えていった場所からウサトが戻ってきた。

 ウサトはわたしを見つけるなり満面の笑みを浮かべ、ぶんぶん手を振りながらこちらへ走ってくる。


「ありすー! リスタの家を見つけたよ! 見えてないって分かってても、一緒にエレベーターに乗ってる間は心臓がバクバクしちゃった」

「エレベーター!? すごい勇気……」


 でもそっか、わたしを助けに来たってことは、ウサトはそういう役割を負ってる人――うさぎってことなんだよね。

 こういうのいっぱい経験してるのかな?

 わたしとそんなに歳も変わらなさそうなのにすごい……。


「そうそう、こっちもヒント見つけたよ!」

「本当!? 一気に大収穫だね♪」


 わたしは、噴水の水底に見つけた花のことをウサトに伝えた。

 これで今あるヒントは3つ。


 ・西門の壁にある端末とカード挿入口

 ・噴水の水底にある、赤、青、黄色、白、紫、ピンクの花の模様

 ・リスタの家の住所【3丁目2番地の6 マリンタワー514号室】


 まだよく分からないけど、ウサトと一緒なら謎解きゲームみたいでちょっと楽しいかもしれない。


「カードはどこにあるんだろう」

「うーん……そういえばもうひとり登場人物がいたよね。エイルだっけ」

「うん。でもわたし、エイルの見た目は分からないよ?」


 表紙にいたのは女の子だけだし、裏表紙にも人の姿はなかった。


「そっか。それならリスタの家の近辺を探索しよう!」

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