赤い金魚
片眼の兎
第1話
廓の二階から顔を出し金魚売りを呼び止める
赤い金魚をおくんなし
尾びれが蝶々みたいに綺麗な金魚を
金魚売りがたらいに入れた金魚は
つんとおちょぼ口をとがらせ薄く儚くふてぶてしい尾びれを着物の裾を翻すように優雅に振ってみせ張り裂けそうに膨らんだ丸い腹には汚い内臓が畳まれることなく無造作に入っているのだろうと思わせた
あんたの居場所は此処だよ
陽の当たる窓辺に置いた金魚鉢に放り込む
金魚鉢の中には折り重なるように赤い金魚がびっしりと詰め込まれおちょぼ口だけをぱくぱくとさせていた
お前たちは臭いねえ
泥臭いのか生臭いのか
腹を上にした金魚の白くぶよぶよした体を撫でる
いや
あたしとおんなじ生きたまま腐っている臓物の臭いかもしれんのう
赤い金魚 片眼の兎 @katameno-usagi
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