枯死する世界樹
雅郎=oLFlex=鳴隠
命の果ては冷えた熱
世界に生まれて、幾星霜。愛すべきあの娘に乞われ、気に食わぬ若造の創った星の巡りに付き合って、失われた生命の種を蒔く、萌芽の担い手として生きてきた。
そんなあの娘は、もういない。儂の事を愛してくれた、あの得難い女神は、薄汚い連中に侵され、暴かれ、命を果たして力尽きた。
恨めしいとも、憎らしいとも、思えない。最早、ただ
「……
「うむ。後のことは頼めるか、
それが土台無理な話だというのは、最初から分かっている。我々、
「全然、できる自信はないけど……。頼ってくれるなら、頑張る」
それでも、健気なこの子は、頑張ってくれるようだ。本当に、優しい子だ。
「お前達も、嫌になったらいつでも来るが良い。その為の
「未完成の、でしょう?」
「そうだな。だが、完成した世界など、何処にもあるものか。創った者が不完全ならば、尚更な」
愚かな
――でも、みんなが不完全だからこそ、愛しいでしょう? ユグ爺だって、わたしがダメダメだから可愛がってくれてるんだって、よーくわかってるよ。ふふん。
得意気に笑う、あの娘の言葉が思い出される。しかし、全てが不完全だった故に、陽だまりは失われ、
あるいは、今でもあの娘は、儂が責務を変わらず果たすことを、望んでいるのかもしれない。
それでも。
「儂もまた不完全なもの。無責任と罵られようと、そんなものは知らん」
たとえ
「……寂しいけど、お別れだね。今までありがとう、
「うむ。……程々に頑張れよ、
瞑目し、意志を解く。我が損なわれていく感覚に、儂は安寧を覚え、やがて消えた。
枯死する世界樹 雅郎=oLFlex=鳴隠 @Garow_oLFlex
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