酸化していく生活　＜短歌＞

ゴオルド

　美しい嘘つけない舌は不良品　青い柿の実　踏みつぶす帰路

　あの子ってしっかりしてるお豆腐ね

　かたくてもろい木綿豆腐ね

　くそやろう　くそやろうと吠え草むしる　芒（すすき）に隠れた鴉は鳴きやみ

　短冊（たんざく）に書くほどの願いではないけれど

　洗濯槽の裏洗いたい

　あらゆる善を測る基準だ猿の子の母の毛握る指の白さよ

　千代紙のにおい　バスの座席のおばあちゃん　長袖のシャツ　やわい色合い

　嫌われる理由がわかる人は嫌われない

　そんなことよりビール飲もうぜ

　重なったホットケーキのずれた夢　そろえた振りする　生活は続く

　あの人の知り合いのまた知り合いの息子

　の嫁

　が釣ったカワハギ

　友だちの作り方など忘れたよ　コオロギつかめた嘘みたいだ

　我が肉をまるく切り取り差し出せばよく見もせずに飲み込む鯉、嫌悪

　最上階煮たバナナになる夜蒸すし焼けた喉元月の輪熊

　家出した車輪が回る月は陽にシートベルトに優しくされて

　初恋で消滅時効の意味を知る碧（あお）の麦穂（ばくすい）なぎ倒せ風

　焦燥で雁字搦めの溜息を固めりゃ珈琲ゼリー、嚥下（えんげ）

　血を与え背に咲かせた金梅花（きんばいか）　あなたは気づくだから私は

　おそろしい勢いで貯まるポイントよ　罪の意識で青汁と交換

　なぜ折れた　釘を責めても仕方なし　トンカチ無罪　壁だって無罪

　ＤＭに並ぶ似た顔知らん女（ひと）親戚でしょうか公園の鳩

　恵方巻きではなくうちは手巻き寿司

　好きに生きるわ　キウイを巻くの

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