大会開催

 全国大会予選は、県立武道館で行われる。

 総数は300名余り。

 全体数を見れば、去年よりは少ない。


 そのほとんどが男子で、女子は五人しかいなかった。


 団体戦はなしで、サラは個人戦のみの出場。


 壇上を前に学校ごとに分かれて整列し、サラは一人だけなので、他の学校の真後ろに立つこととなる。


「これより、大会開催の宣言をします」


 國井と念入りに打ち合わせをして、厳しい稽古を積んできた。

 サラは國井に念を押されて、言われてきた事がある。


 二階の観客席から下を見ていた時、國井はボソボソと階下で練習する生徒たちを指して教えた。


『あそこにいるのは、全部偽物だ。サラ。勝つってのはな。今までの自分を越すことだ。負けるってのは学び。あいつらは、何も知らねえで、あそこにいる。――を見せてやれ』


 他の事情に巻き込まれず、稽古によって何でもこなし、伸びしろを持つ者。それが特定のルールに従って、いつもより制限されているだけ。


 背の高いサラは真後ろから、多くの生徒たちを一望する。

 偽物、と國井は言うが、県内全域から集まった強者達が集結している。


 以前までのルールとは違い、『男女混合戦』。

 女同士で当たる確率は低く、多くが男と打ち合うのが前提の戦い。


 サラは高揚こうようした。


 なぜなら、今から一世一代の番狂わせをしてやるからだ。

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