薄暮

夕暮れ時の最中。

朱色に眩む視界は遠く、遥か、行き先を惑わす。狂わされた日常が、目の前を通過して 離れていく、気がした。ただ、ぼんやりと蒸した空気が漂うだけで、生気が失われていくこと。

真っ直ぐに進む足に迷いが生まれる時、あなたの横に、少し立ち止まるものがあれば良い。

意味もない心地良さがあってくれたら、それだけで。逃げられない朝に対抗するため。

太陽が隠れる。

月が現る。

その狭間の僅かだけ、僕の紡ぐ物語を聞いていてはくれないだろうか。

明日また、生きていくため。

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