【18歳以上向け】今日は私がお兄さんを独り占めするんだから、もっと早く来てくださいね?(後編)


  *


「その割には顔色が悪いような気がしますけど……」


 そう言われて初めて自分の顔色が悪いことに気がつく。


 おそらく昨日の出来事が原因なのだろうが、その原因である本人に心配されるのは複雑な気分だった。


 とはいえ、このまま黙っているわけにもいかないので正直に話すことにする。


「実はあんまり眠れなかったんだ……」


 すると、彼女は心配そうにこちらを見つめてきた。


「大丈夫ですか……?」


 その気遣いが嬉しくてつい口元が緩んでしまう。


 だが、ここで余計なことを言うとまた話がこじれそうなので誤魔化すことにした。


「……大丈夫だよ」


 お互い気まずくなってしまい黙り込んでしまう。


 だが、このままではいけないと思い、思い切って声をかけた。


「あのさ……よかったらもう一度やり直してもらえないかな……?」


「……えっ?」


 俺の言葉に驚いた顔をする彼女に向かって言葉を続ける。


「昨日は本当に悪かったよ。反省もしてるけど、やっぱり君とああいうことするのは嫌じゃなかったっていうか……むしろ嬉しかったって言うかさ……」


 言いながら段々恥ずかしくなってきて尻すぼみになってしまったが、言いたいことは伝わったはずだ。


 その証拠に、彼女は真っ赤になって俯いてしまった。


 そして消え入りそうな声で呟くように言う。


「わ、わかりました……それじゃあ、もう一度しましょう」


「……へ?」


 予想外の答えに間の抜けた声を出してしまった。


 てっきり断られると思っていただけに驚きを隠せない。


 そんな俺に構わず、彼女は恥ずかしそうに言葉を続けた。


「そ、その……私は別に嫌ではなかったですし、お兄さんさえよければこれからもお願いしたいです……」


「それってつまり……」


 俺が言い終わるより早く、彼女が頷いてみせる。


「はい……お泊まり会の延長ということでどうでしょうか……? もちろんあなたが良ければですが……」


「いや、俺の方こそ頼むよ。またこうして一緒に過ごしたいなって思ってたからさ……」


「ほ、本当ですか!?」


 途端に目を輝かせる彼女に苦笑しながら頷く。


 すると、嬉しそうに抱きついてきた。


 そんな彼女を抱きしめ返しながら優しく頭を撫でる。


 そうすると、幸せそうに笑ってくれた。


 その表情に胸が高鳴るのを感じながらも、平静を装って口を開く。


「えっとさ、じゃあ、さっそくなんだけどいいかな……?」


「ええ、もちろんです!」


 元気よく返事をした彼女の体をそっと押し倒す。


 そのまま唇を重ねた。


 一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに目を閉じて受け入れる体勢をとる。


 それを確認した俺はゆっくりと舌を差し入れた。


 彼女もそれに応えるように舌を絡めてくる。


 しばらくの間、お互いの舌の感触を楽しむように濃厚な口付けを交わしていたが、やがてどちらからともなく顔を離した。


 唾液の糸を引きながら離れていく唇を見つめながら言う。


「今度は最後までしようね?」


 それを聞いた彼女は、蕩けたような表情で頷くと、甘えるような声で呟いた。


「はい……お願いします……」


「うん、任せておいて」


 そう言って微笑むと、再びキスをしながらゆっくりと服を脱がせていく。


 露になった白い肌にはいくつもの赤い跡がついていて、それが妙に色っぽく感じられた。


 思わず見惚れてしまいそうになるが、何とか堪えて行為を続ける。


 首筋や鎖骨に舌を這わせると、その度に甘い声が漏れ聞こえてきた。


 その声をもっと聞きたくて執拗に攻め続ける。


 やがて、限界を迎えたのか一際高い声を上げて体を震わせた。


 どうやら軽く達してしまったようだ。


 荒い呼吸を繰り返しながらぐったりとしている彼女を見下ろしつつ尋ねる。


「大丈夫?」


「はぁ……はぁ……はい……大丈夫です……」


「そっか、よかった」


 笑顔で答えると、続けて言った。


「それじゃそろそろ本番に行こうか」


 その言葉に、彼女は顔を赤らめながらもしっかりと頷いてみせた。


 それを確認した俺は、自分の服を脱いでいく。


 お互いに一糸纏わぬ姿になると、どちらからともなく抱き合った。


 肌と肌が触れ合う感触が心地いい。


 しばらく抱き合っていたが、やがて名残惜しそうに離れると、今度は足を絡めるようにして密着した。


 そのまま腰を動かし始める。


 互いの性器を擦り合わせる形になり、そこから生じる快感に身を震わせていた。


 だんだんと息が荒くなっていくのがわかる。


「あっ……んっ……んんっ……」


「くっ……ふぅっ……」


 無意識のうちに声が出てしまうが、そんなことは気にしていられなかった。


 今はただ目の前の快楽に夢中になっている。


 そのうちに絶頂を迎えそうになった俺たちは、ほぼ同時に果ててしまった。


 二人分の愛液で濡れた下腹部を見ながら苦笑する。


 まさかこんなに早くイってしまうとは思わなかった。


 それだけ興奮していたということだろうか……?


 そんなことを考えながら視線を上げると、ちょうど彼女と目が合う。


 彼女は恥ずかしそうに目を逸らしたが、しばらくするとこちらに視線を向けてきた。


 そして、小さな声で尋ねてくる。


「気持ちよかったですか……?」


「ああ、すごく良かったよ」


「それならよかったです……」


 安心したように笑う彼女を見ていると、愛おしさがこみ上げてくるのを感じた。


 思わず抱きしめそうになるのを必死に堪える。


 そんなことをしたら歯止めが効かなくなってしまうからだ。


 それはさすがにまずいだろう……そう思って自制心を働かせていると、不意に声をかけられる。


「あの……もう一回だけいいですか……?」


「えっ? あ、ああ、うん、いいよ」


 戸惑いつつもそう返すと、彼女は嬉しそうな顔をして俺の体にしがみついてきた。


 柔らかい胸の膨らみが押し付けられて気持ちいい。


 それからしばらくして、またも絶頂に達してしまった。


 だが、これで終わりではない。


 まだ満足していない様子の彼女に誘われる形で第二ラウンドへと突入するのだった……。


 その後も何度か体を重ね続け、気づけば朝になっていた。


 結局、一晩中ヤりまくっていたことになるわけだが、不思議と後悔はしていなかった。


 むしろ最高に幸せな気分だと言ってもいいだろう。


 それにしても今回は今までで一番激しかったかもしれないな……思い返しているうちに顔が熱くなるのを感じる。


 それと同時に下半身が疼いてくるのを感じた。


 どうやらまだ足りないらしい……そう思った俺は結愛ちゃんを抱き寄せると耳元で囁いた。


「なあ、そろそろいいか……?」


 すると、彼女は恥ずかしそうにしながら頷いてくれる。


 それを確認した俺は、そのまま押し倒した。


 それから何度も求め合い、ようやく満足したところで俺と彼女はベッドに倒れ込むのだった。


 そこでふと思いついたことがあったので、隣で横になっている彼女に声をかけた。


「あのさ、一つ提案があるんだけどいいかな?」


「なんですか?」


 不思議そうに首を傾げる彼女に向かって言う。


「もしよかったら俺と付き合わないか?」


 その瞬間、彼女の表情が固まったのがわかった。


 無理もないだろう……昨日会ったばかりの男にいきなり告白されたのだから戸惑うのも無理はない。


 しかし、それでも返事をもらうためにさらに続けた。


「ずっと前から好きだったんだ……だから結愛ちゃんと付き合いたいと思ってる」


 すると、彼女がおずおずと口を開いた。


「あ、あの……気持ちは嬉しいんですけど……私なんかでいいんでしょうか……?」


「君がいいんだ。君じゃなきゃダメなんだよ」


「そう、ですか……」


 そう言うと黙り込んでしまう。


 やはり早急すぎただろうか……? そんなことを考えていると、不意に声をかけられた。


「わかりました……お付き合いします……むしろ、お付き合いさせてください」


「本当か!?」


 思わず聞き返すと、彼女は微笑みながら頷いてみせる。


「はい、本当ですよ。これからよろしくお願いしますね?」


「ああ、こちらこそよろしく」


 そう言って笑い合いながら手を取り合う俺たちだった……。

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