愛おしい 「今日は俺が」と意気込んで焦がしたあなたのホットケーキ

 ある休日。「ホットケーキでも焼こうか」と提案すると、あなたが「今日は俺が焼くから、君は休んでて」と腕まくりをした。

 くつろいで待っていると、あなたがテーブルにホットケーキを乗せた皿を二枚持ってきた。

「君はこっちを食べて」

 あなたはそう言って、良い焼き色のホットケーキを差し出す。あなた側には濃い焦げ目のついたものがある。

「そっちが食べたい」

「これは焦げてるから俺が食べるよ」

 あなたは気まずそうに笑った。

「そんなに焦げてないよ。おいしそう」

 正直に言えば、それなりに焦げている。でも、あなたが焼いてくれたものだから、愛おしく感じて、欲しくなってしまうのだ。

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