第6話 余命5日②

 教室に入ると先程までの静けさが一気に喧騒に変わった。しかし、その中に一人だけ静かに本を読んでいる人がいた。京香だ。

京香は俺達に気付くと近づいて来た。

きっと俺達が来るのを待っていたのだろう。


「おはよう。皐月と志野さん。今日は2人共一緒に来たの?」


「おはようございます。京香さん。今日はたまたま出会ったので皐月さんと一緒に来ました。」


俺達が少しの間喋っていると死神が深刻そうな声音で衝撃的なことを言った。


「ねぇそこにいる京香さん?の寿命が見えないんだけどどういうこと……?」


なんと!本来見えるはずの京香の寿命が見えないらしい。


「寿命というものは寿命管理担当の死神がつけているものでそれが見えないということは死神が仕事をサボっているのか、これから確定はしていないけど死ぬかも知れないということ……出来れば前者であって欲しいけど……確率は低いね……」


俺と死神は1度席を外した。流石に2人に聞かれる訳にはいかないからだ。


「それってつまり……京香が死ぬってことか?!」


俺達は屋上に来ていた。

屋上は風が強く、それが一層俺の焦りを加速させた。


「確定はしてないけど今日命の危機に遭うのは確実だね。」


「確定はしてないって言う事はまだ守れば助かるかもしれないってことだよな。」


「そうだけど……貴方まで死ぬかもしれないよ?それでもいいの?」


「どうせ後5日で死ぬんだ。何もせずに死ぬより良いことして死んだほうがいいからな。しかもあいつは俺の大切な幼馴染だからな。」


俺は絶対に助けると固く決心した。


「もう何を言っても無駄だね。だって貴方の寿命も見えなくなっちゃたからね。

出来る限り私もサポートするよ。」


「ありがとう。とても心強いよ。」


その後俺達は少し話し合い、教室に戻るのだった。

教室に戻ると喧騒が静けさに変わっており皆が席に座っていた。そして、俺も慌てて席に座った。

俺は京香の方を見た。

まだ大丈夫そうだ。

おそらく授業中は何も起こらないだろう。

しかし、俺は用心を怠らず神経を張り巡らせたままその後の授業を受けるのだった。

昼休み、俺は京香に話しかけていた。

結局午前中の授業は何も起こらなかった。


「なぁ、今日一緒にお昼食べようぜ。」


「いいけど……皐月から誘ってくるなんて珍しいね。」


俺達は食堂に向かった。

道中、京香が階段から落ちそうになったが俺の反射神経とスピードで助けた。

本当にいきなり来るので油断も隙もない。


「さっきはありがとう。助けてくれて……」


京香は少し恥ずかしそうに言った。


「どうってことないさ。幼馴染が幼馴染を助けたりするのは当たり前だろ?」


俺は格好良く言ったつもりだったがあまり響かなかった。

その後、俺達は昼食を食べ終え、午後の授業を受ける準備をするのだった。











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