転生したら商人でした!

杜鵑花

第1話 異世界転生

 誰しも一度は異世界転生をしてみたいと思ったことがあるだろう。

この物語はそんな異世界転生を夢見ているとあるセールスマンの物語である。


 時刻は昼過ぎ、俺「高石英樹」は営業に出ていた。


「あ〜あまた売れなかったな~これじゃ今日のノルマは達成出来ないかもしれないな。」


そんなことを言いながら次に行く家を確認する。

どうやら次で最後のようだ。


「あ〜結構遠いな。でもこれで最後か!今日は帰ったらどんな転生ものの漫画を読もうか。」


そう、最近の俺の趣味は漫画を読むことだ。その中でも特に好きなジャンルは異世界転生だ。


「あ〜あ俺も異世界転生して最強勇者になりたいな~」


そういった瞬間「いいでしょう。その願いを聞き入れます。」と頭の中で声がした。

刹那、俺のいる方向にトラックが突っ込んできた。

もしかして俺……フラグ立てた?途切れゆく意識の中俺はそんなことを思った。


 次に目が覚めた時、俺は真っ暗な何もない空間にいた。


「ここは何処だ?」


何もない空間に俺は呟いた。


「ここは私の空間ですわ。」


闇の中から声がした。


「誰だ!何処にいる!」


「私の名はガイド。貴方を異世界転生させる案内役ですわ。」


「異世界転生だって?」


「そうです。貴方には魔王の配下にあるルビード国を救ってほしいのです。貴方も異世界転生を望んでいたから宜しいでしょう?」


確かに……俺は異世界転生を望んでいる。しかし、俺には現実世界でやる事がまだあるんだ!


「あっそうそう言い忘れていたけどもし断ったら貴方をここで始末することになりますわ。」


選択肢が「はい」しかないじゃん。


「はい……分かりました。異世界転生をします。」


「本当ですか!では今から貴方を勇者としてはじまりの街、ブロンに送ります。3・2・1・0」


その瞬間俺は足元にできた渦に飲み込まれた。

体が完全に飲み込まれる直前「あ……設定ミスったかもしれないわ」と聞こえたのは気の所為であってほしい。


 そして俺は見知らぬ街に降り立った。勇者とは思えないようなとても大きなバッグを背負って……


「この格好……本当に勇者か?」


また、頭の中に声が響く。


「ごめんなさいですわ。貴方の職業を勇者と間違えて商人にしてしまいましたわ。」


俺は絶望した。何故なら俺は勇者として異世界ライフを遅れると思っていたからだ。


「あの……職業を勇者に変えれないのですか?」


「残念ながら職業を変えるのは無理ですわ。でもそのお詫びとして頼もしい相棒を用意しましたわ。それでは相棒と協力して魔王討伐を果たしてください。さよならですわ~」


「え……商人で魔王討伐とか無理ゲーじゃん。でも相棒が強ければ行けるかも……相棒は何処だ?」


俺が相棒を探していると声をかけてくる美少女がいた。


「あの……貴方が高石英樹さんでよろしいですか?」


「あぁ俺が高石英樹だ。」


「良かった!私は霧島桜です。職業は僧侶です。私も転生してきたのですがガイドさんにまず相棒の高石英樹さんに会えと言われたので来ました。これからよろしくお願いします。」


僧侶か……これ本当に魔王討伐できるのか?まぁこれからのことは流れに身を任せよう。


「あぁ商人の高石英樹だ。よろしくな。」


そんなこんなで俺の異世界ライフが始まるのだった。

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