エピローグ2

――――グラムスティード家について


王家と並んで政治的評価せいじてきひょうかが地に落ちたのは、グラムスティード家だ。


王都事変の調査の結果、アレックスを暴走させたのがラミゼアであると判明したからである。


ラミゼアがゼリスにスヴァルコアを渡し、そのスヴァルコアが牢屋にいるアレックスの手に渡ったというのが、一連の経緯だ。


ただし現在、ラミゼアに罪を問うことは不可能だ。


なぜなら、ラミゼアが死去してしまっているからである。


彼女は王都事変のおり、アレックスが発生させたハリケーンの被害によって、命を落としてしまった。


ゆえにラミゼアを断罪することは、もうできなくなっている。


死んだ人間に有罪判決を下すような事例もあるが……あまり意味のある所業ではないだろう。


代わりに、ラミゼアの実家であるグラムスティード家が、責任を問われる形となった。


グラムスティード家は爵位しゃくい剥奪はくだつ


国外追放こくがいついほうを命じられることになる。


三大公爵さんだいこうしゃく一角いっかくしていたグラムスティード家が崩壊したことは、政界に多大な衝撃を与えることになった。


グラムスティード家の派閥はばつに属していた貴族は、必死で次の派閥はばつさがしをおこなっている。





――――ミアストーン家について


クランネル王家、グラムスティード家が評価をいちじるしく落としたのに対し、ミアストーン家の評価は大きく下がらなかった。


当初は……


『アレックスの暴走は、ルチルとの痴話喧嘩ちわげんかが原因ではないか?』


……といった指摘もあり、ルチルに対して責任を問う声もあった。


しかしルチルがジルガーンを倒したこと。


アレックスを倒したこと。


王都事変が終わったあと、市民の救済を積極的におこなったこと。


そして。


『そもそもルチルはアレックスに逆恨さかうらみをされた被害者。ゆえにルチルを責めるのはもってのほかである』


と神殿がルチルを擁護したことなど……


さまざまな要因が重なって、ルチルを責める声は鎮火していった


また、同時期にルーガが活躍したことも大きい。


王都事変の折、ルーガは王都を離れており、国境でダルリス帝国と衝突していた。


ダルリス帝国の軍事的行動に対し、ルーガは見事な采配さいはいで返り討ちにした。


つまり戦争に勝利したのである。


この功績をって、ミアストーン家の評価は上がることになった。


トータルとしてみれば賛否はあるものの、ミアストーン家の評価は下がらず、むしろ微増したという見方が大きい。




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