第3章105話:食堂


……あった。


42位か。


うーん、まあ可もなく不可もなくだ。


魔法学部は一番人数が多く、今年の新入生は90名もいる。


そのうち42位とするなら、だいたい真ん中ぐらい。


あるいはそれよりちょっと上だ。


「マキは……あら、9位ですわね。トップテン入りとは、頑張りましたわね」


「こ、これは、申し訳ありません! ルチル様を差し置いて、その……」


「何故謝る必要があるんですの? わたくしに遠慮する必要はありませんわよ」


私は本気でやって負けたなら、素直に受け入れるつもりだ。


アレックスみたいに、相手にわざと負けろと要求するのはクズの所業だ。


「マキ。これからもわたくしに忖度せず、試験では全力で臨みなさい。手加減することは許しませんわ」


「ルチル様……」


マキが目を見開いた。


それから微笑んで言った。


「はい。では、そうさせていただきます」


そうマキが告げる。






そのあと、私たちはフランカと合流して食堂に向かった。


大学の食堂は【一般食堂】と【上級食堂】に分かれている。


一般食堂はそこらにある普通の食堂だ。


上級食堂はメニューが豪華だが、年間200万ディリンの利用料が必要となる。しかも食事の値段も高い。


「すなわち一般食堂が平民用、上級食堂が貴族用……ということですね」


マキが簡潔にそうまとめた。


もちろん絶対ではないはずだ。


平民でも200万ディリンさえ払えば上級食堂を利用できるし、


逆に貴族でも200万ディリンを払えなければ一般食堂を利用するしかないだろう。


ただ、まあ……


全体の傾向としては、マキが言ったような客層になるだろうね。


ダイラス魔法大学は、実力が全ての大学と謳っているが、実際は、このように平民と貴族を分ける仕組みがある。


「え、えっと……やっぱり上級食堂を利用しますよね?」


フランカがおそるおそる聞いてきた。


食堂の利用料だけで200万ディリンはかなり痛いと思ったようだ。


だが、マキはぴしゃりと言った。


「当然です。逆に貴族が一般食堂を利用していたら、平民のみなさんにもプレッシャーを与えてしまうでしょう」


「うう……わかりました」


フランカが涙目になっていた。


まあ、ともあれ。


上級食堂を利用することになった。


入り口で200万ディリンを払う。


すると年間利用証を授与してもらえた。


上級食堂に入場する。


さすがに上級食堂というだけあって、メニューは高級品が多い。


私たちはそこで豪華なランチを満喫するのだった。








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