第2章65話:戦闘準備


魔人騎士は尋ねた。


「それで、三人がかりで我と戦うのか?」


「いいえ。戦うのはわたくしだけですわ」


私の言葉に、フランカとエドゥアルトが困惑する。


フランカが言った。


「どういうことですか? お一人で戦うつもりなのですか?」


「そのつもりですわ。魔人騎士は一人で倒さなければいけない相手ですもの」


するとエドゥアルトが抗議した。


「納得できません! ヤツの実力は未知数ですが、とてつもなく強い気配を感じます。お一人で戦うのは危険すぎます!」


「危険は承知です。それでも、わたくしは一人で戦いますわ。二人は、後ろで見ていてくださいまし」


頑として私は主張を曲げない。


すると、魔人騎士は呵呵大笑した。


「ぬわはははははっ! ルチルといったか、気に入ったぞ! 三人がかりで戦おうとする卑怯者ならば、スキル石などくれてやるまいと思っていたが……貴様には本物の騎士道があるようだな!」


いや、ないです。すいません!


三人がかりでいいならそうしてたね。


ダメっぽいから、しょうがなく1対1をやるだけで。


私は口からでまかせを言う。


「1対1の真剣勝負こそ、戦士の本懐と心得ておりますわ。故にわたくしは、魔人騎士殿とまじりけのない勝負がしたいのです」


「うむむむむ!! 見上げた心魂よ! ここまで言っておるのだ、そこの二人も邪魔立てはするまいな?」


魔人騎士がフランカとエドゥアルトに水を向ける。


フランカが答える。


「そう……ですね。ルチル様がそうまでおっしゃるなら」


「しかし、本当に危なくなったら加勢させていただきますよ」


エドゥアルトがそう意気込む。


私は苦笑すると、バフポーションをアイテムボックスから取り出した。


赤色のポーションが攻撃、


青色のポーションが防御、


緑色のポーションが速度をアップさせるものである。


これらは通常のバフポーションではなく、改良を重ねて作った超強力なバフポーションだ。


その改良型バフポーションを一つずつ飲んでいく。


からになった瓶をアイテムボックスに直し、代わりに剣を取り出した。


その剣を横向きに構える。


これで戦闘準備は完了だ。

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