第2章49話:ゼラ


「あ、起きたのですわね」


私がそう言うと、人魚は小さくうなずいたあとで、挨拶をしてきた。


「はじめに自己紹介を……我はゼラじゃ」


「わたくしはルチルですわ」


「ルチル。このたびは助けていただき、まことに感謝する。我は、恐ろしい闇の狂気に飲まれておった」


闇の狂気……ね。


ゲームでもそんな設定だったかな、と思いつつ、私は告げる。


「正気に戻ってよかったですわ」


「ああ、本当に。ついては礼をさせていただきたく思う」


「お礼ですの?」


「湖にスキル石を隠してある。我の財宝の一つじゃ。いま持ってこよう」


ああ、こういう流れなのね。


「というか、もう身体は平気なんですか? 結構きつい電撃だったと思いますが」


「問題ない」


そう言い残してゼラさんは、湖に戻っていく。


ややあって戻って来たとき、その手に紫色の鉱石を持っていた。


「魔力自動回復スキルが取得できるスキル石じゃ。受け取れ」


うんうん、それそれ。


それが欲しかったのよ。


錬金術をやっていると、どうしても魔力消費が激しいからね。


いちいちマナポーションで回復しようとすると、飲みすぎでお腹がたぷたぷになっちゃうし。


私がスキル石を受け取るとほぼ同時に、エドゥアルトがあわあわして叫んだ。


「ま、魔力自動回復!?」

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